大黒屋ホールディングスが展開する大黒屋

本日6月14日付の日経新聞にブランド品の買取で有名な「大黒屋」を運営する大黒屋ホールディングスが、同じくブランド品買取業者「ブランドオフ」を買収したというニュースが入ってきました。

両者の売上高を見てもどちらも年間200億近い業界大手の業者です。

業界最大手の「コメ兵」の年間売上高がおよそ400億円で、この二つの業者はそれに続く2位3位、もしくは「なんぼや」を運営する株式会社SOUに続く3位4位という立ち位置です。

ブランド品買取業界でもこうした大手業者同士によるM&Aは初めてですので、内情なども踏まえ解説していきたいと思います。

大黒屋によるブランドオフ買収の概要と内情

今回名前が挙がった「大黒屋ホールディングス(以降:大黒屋HD」は国内に22店舗を展開する「大黒屋(質)」の運営元となる会社です。

創業も1947年と古く業界でも老舗買取業者という立ち位置です。

年間総売上高はおよそ200億円で時価総額81億円とされています。

一方買収される「ブランドオフ」に関しては株式公開していないためIR等は不定期ですが、2014年前後中国人の爆買いブームにより大きく売り上げを伸ばした大手ブランド品買取業者のひとつです。

日経新聞のニュースではブランドオフの売上高はおよそ200億円とありましたが、これはもっとも売上高のよかった2年の数字で今はこの数値より落ちているはずです。

店舗数は国内30店舗展開していてイオンなどのショッピングモールや銀座の一等地など多岐にわたっています。

一見して同規模の業者同士に見えますが、なぜこうした大型買収が成立したのでしょうか。

大黒屋HDの資金事情

パッと見てここまで大型の買収話ですので、まず大黒屋側の資金のありかについて解説します。

ブランド品買取業者の中ではバックに大きな資金元が存在する業者もあります。

大黒屋ホールディングスでは、あのディズニーランドの運営元としても有名な「株式会社オリエンタルランド」が2003年より資金援助しています。

今回のかなり大きな買収話にこのオリエンタルランドが噛んでいることは間違いないかと思います。

ブランドオフの業績悪化について

一方買収されるブランドオフに関しては現在の業績は決してよくないと噂されています。

ブランドオフの主力製品はヴィトンやシャネルではなく、平均しても1点100万円はくだらないとされるエルメスの人気バッグ「バーキン」です。

これをどこよりも多く品ぞろえし中国人顧客をメインに販売していました。銀座の一等地にある店舗の爆買いブーム時のバーキンの売り上げはすさまじかったと業界でも噂されるほどです。

ですが近年では為替など様々な影響から中国人の爆買いブームは半分以下になっているといわれています。

今回こうした買収話が持ち上がったのもこうした背景からだと予測されます。

買収してどうするの?ブランド業界の現在の状況とは

事業買収の先にあるものとは

大黒屋ホールディングスはブランドオフを買収することで、売上規模は業界トップのコメ兵に続くという形になるはずです。

現在のブランド品買取業者の市場を整理しておく以下のようになっています。

年間売上高トップ5
1位 コメ兵 401億円
2位 なんぼや 200億円超(予測)
3位 大黒屋 205億円
4位 ブランドオフ 100-150億円(予測)
5位 ブランディア 100億円

※なんぼやを運営する株式会社SOUやブランドオフに関しては売上を開示していないため憶測や以下のソースなどを参照にしています。

この中での3位と4位による買収ですので業界内の情勢もかなり変化することが予想されます。

この買収をきっかけに大黒屋国内の店舗を50店舗以上に拡大するとされていますので、さらに大きく展開していくというのが今回の買収の狙いのようです。

ブランドオフのお店も原則は引き続きそのまま継続のようですが、一部店舗は大黒屋となり運営されるところもあるようです。

いずれにせよ厳しい中古ブランド業界

中古ブランド業界はどこも苦戦しているというのが現状です。

一番の大きな理由は「メルカリ」などをはじめとしたフリマアプリやCtoCサービスの発展です。

上の大手業者の中でもここ数年で大きく売上高を伸ばしているのはネットの買取に特化した「ブランディア(株式会社デファクトスタンダード)」のみで、それ以外のところはブランドオフをはじめ業績を落としているところが多いです。

そのため今回の大黒屋のような単純な事業拡大の戦略はどうなのかな?というのが個人的な意見です。

売上を伸ばしているところはすでに販売先を海外などをメインに切り替えているところも多く、国内の中古ブランド市場はメルカリに荒らされているといっても過言ではありません。

中古ブランド業界の今後を占う大型事業買収

もし今回の買収によって大きな利益がもたらされるのであれば、今後も小さな中古ブランド業者などが買収される流れは強まっていくと思います。

いかんせん業者間の大型買収は初のことなので、今後大黒屋がどうなっていくかは注目していきたいと思います。

日経新聞で報道された直後に、ブランドオフの公式サイトのIRでは“まだ正式に決まっていない”といった旨の文書が発表されています。

とはいえここまで大きく取り上げられていますので、正式な発表も近いと噂されています。

低迷が続く中古ブランド業界に少しでも光が差せばと私自身も期待が高まっております。

チケット屋の大黒屋とは別の会社です


大黒屋チケット
ちなみに補足ですが・・・
こちらのオレンジの看板を見たことがある方も多いと思います。

こちらも同じ「大黒屋」でブランド品以外にもチケットなどを主に販売しているお店ですが、こちらは今回の大黒屋とは全く別で運営元も無関係です。

同じ質屋・買取業をしている大黒屋で二つあるため間違いやすいですが、今回の黄色い看板の「大黒屋(質)」はブランド品がメインで、オレンジの看板の「大黒屋」はチケット販売がメインになっている別業者です。