4月24日に経済産業省より電子商取引に関する市場調査の結果が発表されました。
そこでリユース業界に関する興味深いデータが公表されたのでその件についてまとめていきたいと思います。
実際に我々買取業者からしてもフリマアプリの存在は脅威の他なりません。それを踏まえて買取業界全体の流れなどもお話できたらと思います。
このページの目次
リユース業界の現状
リユース業界と近年では呼ばれるいわゆる「買取やリサイクル販売」などの業種の市場ですが、大きく分けて二つの形態があります。
- 店舗を通して買取・販売がされる取引形態(BtoC)
- 店舗を通さず販売者と購入者が直接取引する形態(CtoC)
といった二つです。
お分かりの通り前者が「リサイクルショップ」「古着屋」などで、後者が「ネットオークション」「フリマアプリ」などに当たります。
経済産業省の資料もわかりやすかったので引用させていただきます。
(引用元:電子商取引に関する市場調査報告書)
事業者が買取業者として直接的に取引にかかわる形態と、フリマアプリのように事業者は取引の場を提供するだけの形態とで区分されています。
買取業者とネット販売(CtoC)の市場規模差
現在リユース業界全体の国内市場規模はおよそ1.9兆円ほどといわれています(※自動車・バイクは除く)。
まずそのうちの半分が買取業者による店舗販売の数値で「およそ1兆円」です。そして業者のネットショップなどEC販売が「およそ2,300億円」で、リユース業界のちょうど2/3はいわゆる業者によるBtoCの売り上げが占めています。
同じくネットオークションの規模も1兆円だが・・・
同じようにネットオークション全体の規模もおよそ1兆円といわれています。
あれ数が合わなくない?と思った方もいらっしゃると思いますが、ネットオークションは実際には業者間の取引(BtoB)、業者の販売(BtoC)に使われていることも多く、すべて含めると1兆円になりますが、フリマアプリのようにCtoCでの取引だけを集計すると「3,458億円」との結果になっています。
急激に拡大するフリマアプリの市場
そしてフリマアプリの市場は現在「3,052億円」とここ数年で急激な伸びを見せています。
ネットオークション(CtoC)の市場規模は3,458億円ですので、翌年には超えるほどの勢いで市場を拡大していることがお分かりいただけると思います。
まさにフリマアプリのCtoCの市場はもはやリユース業界ではかなり多くの比重を占めていることがわかります。
ブックオフの経営不振や、ブランド品買取業者の不況など要因は様々ですが、フリマアプリの勢いも多少関係していることは明らかです。
フリマアプリの猛威は女性ファッション関連へと
フリマアプリがもっとも浸透しているのは若い女性たちです。それゆえに「レディースファッション(ブランド品なども含む)」の市場に関しては今現在購入・販売ともにフリマアプリのシェアがNo.1になっています。
若い女性の中には「フリマアプリで洋服を売ることを前提に服を買う」なんていう人も増えているというから驚きです。
個人的にゾゾタウンのツケ払いで洋服を買うよりはずっとまともだとは思いますが、フリマアプリがいかに生活に浸透しているかを考えさせられました。
(引用元:電子商取引に関する市場調査報告書)
フリマアプリの登場で手軽に物が売れる時代に
今までネットオークションにせよ、リサイクルショップにせよ「手軽さ」とは少しかけ離れたツールでしたが、フリマアプリの登場でスマホから簡単に物が売れるようになったことで、今まで「物を売る」ということに馴染みがなかった若い世代を取り込めたことがフリマアプリの功績だと感じます。
ネットオークションは似たようなサービスではないか?
そう思っている方も多いと思いますが、そもそもネットオークションでは「PC」と「スマホ」では主にPCを利用する人のほうが多く、フリマアプリでは圧倒的にスマホ利用が多いことからユーザー層が違うことがわかります。
フリマアプリは高く売るより気軽に売る
フリマアプリでは自分で値段をつけて素早く売れることもメリットの一つです。気軽に要らないものをお金に換えたい人が使うのであって、あくまで少しでも高く売りたい人はいまだにオークションを利用しているはずです。
フリマアプリが獲得しているユーザー層は、ネットオークションというよりも、より気軽に利用できるリサイクルショップや買取業者を潜在的に求めていた層と重なるのではないかと思います。
フリマアプリの今後
ネットで販売しづらいとされるブランド品に関しても、低価格な小物などの小売りに関してはフリマアプリの影響をとても感じます。値段を見てもやはりフリマアプリのほうが販売店よりも、全体的に3割ほど安く売られているためユーザー目線で見たらそちらを選ぶのは当然です。
実際にブランド品買取業者の中にはフリマアプリの猛威を不安視する声と、高額品はネットで売れないから大丈夫と楽観視している両方の声が入り乱れています。
たしかにまだエルメスのバッグやウン十万する高額なブランド品に関しては、フリマアプリはおろかネットオークションでもほとんど売れていませんが、信頼という1点だけ解消されれば同じようにフリマアプリの市場になりやすいジャンルだと思います。
問題も多いが今後も伸びそうなフリマアプリ
フリマアプリの問題は最近の現金出品の問題など多くの方がよく知るところかと思いますが、利便性などを考えるとまだまだ伸びていくサービスだと思います。
上記した利用傾向の表では「レディースファッション」や「コスメ」「書籍」といったジャンルがフリマアプリのメイン市場と示していましたが、今後は「メンズファッション」「インテリア」などにも波及していくことは大いに考えられます。
逆にメルカリなどは危惧されているようにマネーロンダリングなどの温床になりサービス自体が廃れる可能性も無きにしも非ずですが、流行りのSNSなども少なからずグレーな部分はありますし、スマホで物を売るというプラットフォームは今後ますます伸びていくような気がしています。