今回は高級ブランドの「セカンドライン」についてお話していきたいと思います。
セカンドラインとはブランドが手掛けるメインではないサブブランドのようなもの。メインブランドとは違うターゲットを狙って商品展開する場合は、セカンドラインを新たに立ち上げるブランドも多いです。
そんなセカンドラインにはどんなブランドがあるのか?セカンドラインに関する雑学などもまとめてみました。
セカンドラインって「バーバリーなんちゃらレーベル」的なやつのことよね?そんなに思い浮かべないけどけっこうあるものなのかしら?
セカンドラインを出しているブランドとそうでないブランドがはっきりしているからね!でもセカンドラインの立ち位置からちゃんとしたブランドに成り上がったブランドなんかもあるんだよ!
セカンドラインにはどんなものがある?
多くの場合セカンドラインは本家ラインより「値段が少し安かったり」「テイストが完全に違っていたり」とはっきり差別化されていることがほとんどです。
あくまでメインブランドのイメージは保ちつつ、スポーツモデルを展開したいなど意図が感じられるものがほとんどです。バーバリーのように「ブランド名+○○レーベル」みたいなネーミングにするときもあれば、メインラインを感じさせないような名前が付けられる場合もあります。
実際にハイブランドのセカンドラインにはどんなものがあるのか、順に説明しながら追っていきたいと思います。
POLO RALPH LOREN POLO(ポロ・ラルフローレン)
ブランドのセカンドラインとしてはトップクラスに成功しているといっても良い「ポロ・ラルフローレン」、もはや本家を越える規模感になりつつありますが、一応本家ラルフローレンのカジュアル路線として始まったセカンドラインです。
本家ラルフローレンはラグジュアリーな製品が多いですが、ポロ・ラルフローレンにはカジュアルな製品が多く、市場に出回っている数などではセカンドラインでありながら圧倒的に勝っている気がします。
ラルフローレンはハイブランドの中でも特にセカンドラインが多いことでも知られていて、ほかにも以下のような多数のセカンドラインがあります。
- RRL(ダブルアール・エル):古着系高級ライン
- LAUREN(ローレン):女性向け上級ライン
- RLX GOLF(アール・エル・エックス・ゴルフ):ゴルフ用品・ウェア
- PURPLE LABEL(パープルレーベル):紳士系最上級ライン
- BLACK LABEL(ブラックレーベル):モダンイタリアンテイストライン
- DENIM & SUPPLY(デニム・アンド・サプライ):若者向けカジュアルライン
細かく区分するとこれよりも多くありますが、有名どころはこのあたり。そして終了したセカンドラインもたくさんあります。高級路線のほうは人気が安定していますが、デニムアンドサプライなどはまだまだ定着していません。
若者向けカジュアル路線は過去にも「POLO JEANS COMPANY (ポロ ジーンズ カンパニー)」「RUGBY (ラグビー)」など特に終了したラインも多く、デニムアンドサプライはその系譜です。
ポロ・ラルフローレンの名前の由来
少し話が逸れますがポロ・ラルフローレンの由来についてお話します。頭についている「ポロ」とは欧米ではポピュラーな紳士が馬に乗って、ステッキを使い球を打ち合いゴールを競う競技です。
ブランドロゴにもあるポニーと呼ばれるマークはこの競技が由来になっています。ポロでは競技者たちが半袖で襟開きのシャツを着ていたことから、似た形状のシャツをポロシャツと呼ぶようになったとされています。
EMPORIO ARMANI(エンポリオ・アルマーニ)
アルマーニもラルフローレンと並び多くのセカンドラインが知られるブランドの一つです。メインブランドは正確には「GIORGIO ARMANI(ジョルジオ・アルマーニ)」といって創業者でありデザイナーの名前がそのままブランドネームとなっています。
エンポリオアルマーニは同デザイナーであるジョルジオ・アルマーニ氏が立ち上げた、より市場を意識したブランドだといわれています。
エンポリオという名前の由来はイタリア語で「百貨店」を意味します。より若者を意識した売れる洋服を作るためのブランドがエンポリオアルマーニです。
アルマーニにもほかにも多数セカンドラインを手掛けています。
- EMPORIO ARMANI EA7(イー・エー・セブン):若者向けスポーツライン
- ARMANI EXCHANGE(アルマーニ エクスチェンジ):若者向けカジュアルライン
- ARMANI COLLEZIONI(アルマーニ コレッツォーニ):ビジネススーツ廉価版ライン
この辺りがアルマーニのセカンドラインとしては有名です。
SEE BY CHLOE(シーバイクロエ)
クロエがセカンドラインとして手掛けるのが「SEE BY CHLOE(シー・バイ・クロエ)」です。若者向けに低価格な商品をしているのがコンセプトのひとつです。
デザインに関してはクロエのインスピレーションを受けてることを感じられますが、使用されている素材などを見ると、一級品のみを扱うクロエメインラインと比較し安い素材が使用されています。
単純にバッグや小物を比較しても2倍から3倍程度の価格差があります。
そしてクロエメインラインの商品はフランス製やイタリア製のものが多いですが、シーバイクロエは中国製の品物が圧倒的に多いというのも特徴の一つです。
SPORTS Max(スポーツマックス)
イタリアのラグジュアリーブランドとして知られる「MaxMara(マックスマーラ)」はセカンドラインが特に多いブランドとしても知られています。
全部で20以上あるセカンドラインの中でも有名なのがスポーツ系の商品を展開する「SPORTS Max(スポーツ マックス)」です。本家マックスマーラよりも比較的手軽な価格で販売されているのも特徴です。
他にもカジュアル路線の「Max&CO.(マックス・アンド・コー)」なども有名ですが、こちらは本家の半分くらいの価格設定なのでハイブランドというよりはカジュアルブランドという位置づけとされています。
Moncler Gamme Bleu(モンクレール・ガム・ブルー)
高級ダウンが人気の「Moncler(モンクレール)」が手掛けるセカンドラインがモンクレールガムブルーです。多くのブランドがセカンドラインをメインラインよりも低価格で展開しますが、こちらはメインラインの上位版として展開しています。
メインラインよりも1.5倍くらいの価格帯で商品展開されていて、より素材の質感や風合いにこだわりがある品物が多いです。モンクレールガムブルーは通常メインのロゴを白と青の二色にしたロゴが使用されています。
ラルフローレンやアルマーニはたしかに私でも知っていたわ!でもセカンドラインといっても有名すぎる分、あまりセカンドという意識はしてないものも多かったわよ!それでもコンセプトは分けられていたのね!
終了してしまったセカンドラインも多い
ハイブランドのセカンドラインの中には終了してしまったものも多いです。単純にあまり人気が出ずに終了してしまったものや、経営方針によってメインラインとの統合という形でなくなってしまったものも多いです。
終了してしまった有名どころのセカンドラインについても少し紹介してみます。
D&G(ディー・アンド・ジー)
「Dolce&GABBANA(ドルチェ・アンド・ガッバーナ)」のセカンドラインとして展開されていた「D&G」ですが、残念ながら2011年に日本から撤退していました。そもそもD&Gがセカンドラインだったっていうことを知らなかったという人も多いのではないかと思います。
あまりセカンドラインとしては差別化ができておらず、だったら本家ドルチェアンドガッバーナに集約させようという意味での日本撤退だったようです。(※海外ではD&Gは展開しています)
そしてほかにもD&Gを模したブランドやアパレル商品が多数販売されたというのも原因の一つだといわれています。
MARK BY Marc jacobs(マークバイ・マークジェイコブス)
本家「Marc Jacobs(マークジェイコブス)」が手掛けるセカンドラインとして高い人気を誇っていた通称マークバイですが、これも2017年に終了されました。
マークバイは若い女性を中心に人気も高くブランド品のなかではかなり安い価格設定だったことで、小物などを中心にヒットを重ねていました。しかしブランドイメージを向上させたいという経営方針から、本家マークジェイコブスへ一本化されてしまいました。
マークバイの終了と同時に「Marc Jacobs Men(マークジェイコブス メンズ)」も終了しています。
55DSL(フィフティファイブ・ディーエスエル)
初見だとどこのブランドのセカンドラインかわかりませんが、イタリアのファッションブランド「DIESEL(ディーゼル)」のセカンドラインが「55DSL」です。
ディーゼルはハイブランドの中でも比較的カジュアル路線を得意としているブランドですが、55DSLではさらに若者向けのストリートファッションなどを展開していましたが、残念ながら2014年に休止、そして本家との統合が発表されました。
どこのブランドも統合という形で終了してしまうことが多いけど、実際には単純に人気が低かったというケースも多いみたいなんだ。メインは知ってるけど聞いたことないセカンドラインは世界中にたくさんあるよ!
他ブランドとの関係が深いブランド
セカンドラインではありませんが姉妹ブランドといったのように、他ブランドとの関係性が深いブランドもあります。
あくまでセカンドラインという位置づけではありませんが、セカンドラインのような関係性が深いブランドをご紹介します。
MIU MIU(ミュウミュウ)
セカンドラインだと勘違いしている方もたまに見受けられますが、「MIU MIU(ミュウミュウ)」は正式には「PRADA(プラダ)」の姉妹ブランドという形で展開されたブランドです。
プラダの創始者である「マリオ・プラダ氏」の孫にあたる「ミウッチャ・プラダ氏」によって1993年に設立されました。
実はミュウミュウも今ほどメジャーになる前には、プラダのセカンドラインといったような位置づけで、商品の質も本家には少し劣る印象があったのは確かです。
しかし人気が高まりそういった部分も改善され、今日ではブランドとしても肩を並べるような姉妹ブランドという位置づけになっています。
Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン)
イヴ・サンローラン(サンローラン)も直接的に姉妹ブランドなどはないものの、実は「Dior(ディオール)」ととても関係の深いブランドとして知られています。
というのもデザイナー「イヴ・サンローラン氏」は元々ディオールのデザイナーでした。それもただのデザイナーではなく、ディオールの創始者「クリスチャン・ディオール氏」の死後、受け継ぐような形でかつ21歳という若さで主任デザイナーに抜擢されたほどの人物なのです。
その後独立しイヴ・サンローランを設立するに至りますが、当時イヴのデザインによってディオールの伝統が守られたと称えられるほどに、ディオールにとっては縁の深いブランドなのです。
ミュウミュウがプラダの姉妹ブランドなのは有名な話ね!でも最初は商品の質も悪かったっていうのは知らなかったわ!逆にサンローランがディオールのデザイナーさんのブランドっていうのはびっくりだわ!
セカンドラインは減ってきている?
全体的な傾向でいうとブランドのセカンドラインは減ってきているかなと思っています。セカンドラインを展開するよりも本家メインラインを強化していく流れのほうが今は主流です。
やはり高級ブランドの御三家とも称される「Louis Vuitton(ルイヴィトン)」「CHANEL(シャネル)」「Hermès(エルメス)」の圧倒的なブランド力の源は、ここまで一点もぶれずにブランドを磨き続けたというのも関連していると思います。
ハイブランドで安価なセカンドラインを展開して、ブランドとして成功しているケースは実際に少ないため、今後セカンドラインというのは減少傾向にあるのではないかと思います。
ファッションブランドのセカンドラインは好調
ただしハイブランドではないファッションブランドとなれば話は別です。全世界のファッション業界で最大手の「ZARA(ザラ)」では「Bershka(ベルシュカ)」や「Stradivarius(ストラディヴァリウス)」といったセカンドラインを日本でも展開していて、徐々にシェアも伸びてきているようです。
さらに有名どころだと「ユニクロ」が展開する「GU(ジーユー)」もセカンドラインとしては大成功している例の一つでしょう。
ハイブランドの場合はブランドイメージが色濃く認識されている分、セカンドラインの展開はより難しいイメージですが、比較的安価なファッションブランドはフットワーク軽く展開して成功を収めているブランドも多いです。
残念ながらハイブランドのセカンドラインは今後どんどん減っていくのかな?というのが僕の個人的な予想だよ!しっかり差別化できてる魅力的なセカンドラインだけが残っていくと思うよ!