偽ブランド品をICチップで真贋

高級ブランド品の真贋判定の技術は様々な角度から進化しています。

中でも今最先端として実装され始めた技術が「RFID」というICチップによる真贋判定システムです。

この普及により、偽ブランド品そのものが丸ごと消え去るのではないか・・・と感じるほど。今回はブランド品真贋判定で最先端のRFIDやAIについてご紹介していきたいと思います。

RFIDの普及で偽ブランド品は100%見破ることができる未来へ

「RFID」とはICチップを用いた、流通工程の管理システムです。

調べた限り日本でもすでにいくつかの会社がサービス提供を始めているようです。

簡単にいうと、製品に埋め込まれたICチップに”この製品がどこを流通してきたかが記録される”仕組みで、各所に個別のIDが発行され、「メーカー工場→正規販売店→消費者」といった製品の流通経路や取引情報が記録されます。

取引情報の記録には仮想通貨などのシステムとして知られるブロックチェーンを活用していて、当然外部からの改ざんなどセキュリティ面も万全とのこと。

ICチップ内のデータはスマホアプリなどで簡単に読み取ることができ、取引情報を見れば簡単に正規品と偽物との判別が可能となります。

ICチップとても薄くて軽量

もちろんブランド側でも表立った実装の発表などはされていませんし、私自身も正直調べてみて初めて存在を知りました。

ただ実際に某掲示板には、こんな画像が上げられていて、目の当たりにすると技術の革新を感じます。

財布に入っていたICチップ
実はあなたの財布にもRFIDのICタグがあるかも
RFIDのICタグ
ICチップは非常に小型で薄い

(画像引用元:http://hayabusa.open2ch.net/

ヴィヴィアンウエストウッドの財布の中から上記のようなICチップが出てきたようです。

正直これには個人的にも驚きまして、ICチップの薄さや小型さには技術の進化を感じました。

ICチップ自体の低価格化も非常に進んでいて、ネット上には一つ数十円くらいという記述もあり、近い将来このようなシステムが数多くのブランド品に導入されていくことが予想されます。

むしろ水面下では、すでに数多くのブランド品に搭載されているという見方すらできます。(切り開いて確かめる勇気はありませんが・・・)

RFIDの偽ブランド品対策に死角なし

ルイヴィトンバケットの真贋
偽物と本物を目で見分ける必要がなくなる

取引情報そのものを製品自体に記録するという案には、本当に敬服しました。

偽ブランド品は年々精巧になっていて、一部の高額品に関しては、専門の鑑定士であってもほぼ見破ることが不可能な品も流通し始めていると言われています。

ただこのRFIDに関しては、品物の精巧さは関係なく、取引情報の記録として判別するだけなので、偽物を製造する側にはどうしようもありません。

仮にICチップだけ導入しても、正規製造元のIDが偽造できなくては意味がありませんので、本当に偽ブランド品を騙されて購入してしまうというリスクは限りなく減ると考えます。

さらにそれをスマホアプリから誰もが簡単に確認できるようになれば、ブランド業界に与える影響は凄まじく大きいのではないかと思います。

他にもAIによる真贋判定の導入も進む

その他にもブランド品の真贋判定にAIを導入しようという試みも数多くあります。

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実際に中古ブランド業界最大手のコメ兵でも2019年今春から、試験的に実店舗でのAI真贋の導入も発表されています。

これに関してはマイクロスコープを用いてブランド品の素材を解析し、膨大なデータを元に真贋判定を下すシステムです。

現状でもその精度は97%を超える高いものとなっているようです。

今までは鑑定士の目を用いて、偽ブランド品の特徴などと照らし合わせて真贋判定していたものを、完全に機械が行うようになるという画期的なシステムも着実に発展しています。

大手フリマアプリなどでも偽物対策は進んでいる

近年ではフリマアプリの普及により、ブランド品の個人間取引がより多くの方に利用されるようになりました。

ただそこで問題になっていたのが、偽ブランド品を間違えて購入してしまったという事例。消費者庁に届く偽ブランド品による相談件数も毎年増え続けています。

今でも偽ブランド品がもっとも多く流通している市場は、こうしたフリマアプリだと考えられます。

しかし最大手のメルカリはその中でも偽ブランド品対策にもっとも力を入れていて、プロの鑑定士による監視を強化したり、AIによる自動削除もおこなっていて、身近なところでもAIによる真贋は普及してきているのです。

RFIDに加えて、こうしたテクノロジーも進化していくことで、偽ブランド品が流通できる市場も限りなく狭まっていくことが期待されます。

まとめ

今までの真贋対策は、ブランド側によるもの、または中古ブランド店によるものが多くを占めていましたが、RFIDは我々一般人も加わり、誰もが偽ブランド品を判別することができる仕組みです。

そのためこれが完全に普及すれば、意図せず偽ブランド品を購入するという事例は劇的に減少するはずです。

ヴィヴィアンウエストウッドだけでなく、大手高級ブランド側が声を上げて導入していくことにより、ブランド業界全体に波及していく可能性すらあるテクノロジーだと個人的に感じました。

世の中から悪質な偽ブランド品による詐欺が消える未来もそう遠くはないのかもしれません。

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