偽物のバッグを見破るアプリが登場

「偽ブランド品撲滅」はブランド業界がもっとも力を挙げて取り組んでいる試みの一つです。

しかしそれは意外な角度からもたらされるかもしれません。

米の「エンタラプティー社」が「AI技術を取り入れた高級ブランドバッグの偽物を識別するアプリ」を開発したというのです。

今回はその内容を、偽ブランド品などの実情なども踏まえてご紹介していきたいと思います。

人工知能で高級ブランド品の本物と偽物を識別できる!?

インドの起業家や技術者によって設立されたスタートアップ、エンタラプティー社が開発したのは「AIを使った高級ブランド品の識別アプリ」です。

この企画は日本の大和証券グループなども出資していてかなり大規模な開発となっているようです。

発表された識別アプリの使い方としては、マイクロカメラ搭載の専用デバイスで高級ブランドの写真を読み込み、AIが分析してその結果がIOSアプリ上に表示されるというシンプルなものです。

エンタラプティーブランド認証デバイス
(写真は専用デバイス 引用元:Entrupy Web

肉眼では確認できないほど細かな質感などをマイクロカメラが読み取り、あらかじめ用意された本物の高級ブランド品のデータや、膨大な数の偽ブランド品のデータを照合します。

現在では15つの高級ブランドバッグに対応していて、精度は96.4%だと発表されています。

今後はバッグ以外にもジャンルを広げ、対応ブランドも拡大していく見通しです。

↓↓↓英語版ですが動画も公開されているため興味がある方はご覧になってみてください。

利用料金などのサービス概要

サービスの利用料金は以下のように設定されているようです。

  • 月額99ドル ベーシックプラン~
  • 月額999ドル 豪華プラン

あまり詳細は知らされていませんが、識別の上限回数などによってプランが分けられているのかなと予想されます。

実際に専用デバイスに関してはレンタルプランが存在するのか、購入するのかなども明かされていません。

しかしすでに海外のブランド品を取り扱う企業などからは、オファーが殺到しているとされています。

果たしてどこまで偽物を見破ることができるのか?

もっとも気になる点はこのアプリではどこまで偽ブランド品を識別できるのか?という点です。

開発した企業は世界中から、膨大な数のにブランド品を取り寄せ、それをデータとしてストックしているようです。

もちろんこれによってかなり多くの偽ブランド品を見破れることは予想ができます。

しかし偽ブランド品もどんどん進化していっているという背景があります。

偽ブランド品と高級ブランドは常にイタチごっこを繰り返している

高級ブランドがかなり予算を割いて、偽ブランド品対策を施しているのは事実です。

しかし同じように偽ブランド品も日を追うごとに精巧な作りの品が増えています。

ヴィンテージ品として古い品まで価格が高騰している、高級ブランドバッグの代名詞でもある「CHANEL(シャネル)」のバッグでは、本物のバッグをリカラーリングした品なども流通しています。

簡単に言うとボロボロのバッグを安く購入し、あとから色を塗り直したり(赤などをより売れやすい黒に塗り直したりする)直したりして状態の良いヴィンテージ品として売り出す業者も存在します。

商品自体違うものになっていますから、大元のブランドから見れば「本物を使用して作った偽ブランド品」です。

こうした例以外にも手の込んだ偽物は増え続けていて、今までのように安く粗悪な偽ブランド品を大量生産するだけでなく、コストをかけてでも良質な偽ブランド品を製造する業者も増えています。

アプリの精度が95%以上だとしても、常に更新を続けなくては偽ブランド品の進化に追いつけなくなってしまうのです。

偽物とわかっていても購入する層が一定数いる

偽ブランド品が存在する理由としては単純に売れるからです。

もっと掘り下げて言うと、潜在的なニーズとして「偽物でもいいからブランド品を安く買いたい」といった層が一定数存在するからです。

もし仮に上記のアプリが普及して偽ブランド品を100%識別できるようになったとしても、偽物を製造する業者はゼロにはならないと思います。

何故なら偽物でもいいから安く買いたいという人は世界中に存在し続けるからです。

識別アプリが普及すれば偽物が減ることは事実

ただし今回のような偽ブランド品の識別アプリが普及すれば、偽ブランド品市場は確実に縮小されていくことでしょう。

現在の市場では、売っているほうも知らずに流通させてしまっている偽物も多いです。

中古品を扱うリサイクル業者などがすべて識別アプリを導入すれば、これらは確実に減らすことができます。

偽ブランド品がもっとも盛んな市場は中国で、一説によると「本物の流通数の6倍の数の偽物が市場に流通している」とされています。

主に中国や東南アジアなどを拠点に偽ブランド品は世界中に拡散されています。

多くの仲介業者や販売業者が識別アプリを導入すれば、流通段階でかなり多くの偽物を弾くことができるのは間違いないでしょう。

このような技術革新は高級ブランド業界にとってもより良い影響を及ぼすことにつながるため、個人的にも応援したいと思います。