メルカリメゾンズキャプチャ

日本最大のフリマアプリ「メルカリ」が8月21日、ブランド品に特化した専用フリマアプリ「メルカリ メゾンズ」の提供を開始しました。

従来のメルカリは衣服から日用品まで何でも出品できる市場となっていましたが、メルカリメゾンズでは「高級ブランド品」に特化した市場となっています。

高級ブランド専門のオークションやフリマアプリ自体は目新しいものではありませんが、真贋判定という最大の難点をクリアできたところは今までなく、大きく発展したものはありませんでした。

メルカリメゾンズでは本家メルカリと市場を共有して、誰にでも簡単に価格の相場を調べることができる査定システムを導入しています。

すでにメルカリはリユース業界に大きな影響を与えていますが、新たにメルカリメゾンズのスタートで“ブランド買取業界に風穴を開けることができるのか”そのあたりを踏まえ専門的に考察していきます。

ブランド品専門のフリマアプリ「メルカリ メゾンズ」

メルカリメゾンズは「メルカリ」と連携こそしているものの、あくまで別のアプリとしてリリースしました。

メルカリメゾンズのアプリから出品すると「メルカリ」にも同時出品されますが、メルカリメゾンズのアプリ内ではブランド品の品物だけを検索することができます。

写真のようにブランド別や、商品ジャンル別で買いたい品物を簡単に探すことができます。

ブランドごとでも商品を検索できる

ブランド品のジャンル別で商品を探すことができる

誰にでも簡単に使える査定システム

メルカリメゾンズには「ブランド品の査定システム」が実装されました。

このシステムでは査定したい品物の写真を撮影するだけで

  • ブランド名
  • 色・柄
  • 商品名

これらを判別することができます。
(※ただし品物によっては自分で「ブランド名」などを入力することが必要です)

それらのデータを元に、過去にメルカリで出品された同一製品、または類似製品の販売価格からおおまかな相場をすぐに算出してくれます。

画像は自動判別されるため、査定にかかる待ち時間なども一切なく、ブランド品の販売相場を瞬時に把握することができます。

真贋判定や偽物の対策はどうか?

高級ブランドをネットで購入する上で、もっとも重要だとされるのが「品物が偽物ではないのかどうか」の基準です。

メルカリメゾンズでは購入した品物が届いてみたら偽物だったという場合には補償をおこなうとしています。

万が一届いた品物が偽物だと疑わしい時には、運営元に問い合わせをして基準によって偽ブランド品と判断された場合には商品代金を返金してくれます。

ただし偽物の出品を防ぐものではない


しかしこれらの対策はあくまで、出品時に偽物を除外することはできませんし、おそらくすでに多くの偽ブランド品が出品されている可能性すらあります。

実際に私もメルカリメゾンズのアプリを利用して査定をしてみましたが、偽ブランド品の画像でも本物として査定されるだろうなと感じました。

偽物を購入した場合は返金するという対応は購入者から見ると良いですが、根本的な偽ブランド品の撲滅とまではいきません。

特に最近の偽ブランド品はかなり精巧に作られていて、写真だけで判断することはプロの鑑定士でも難しいものが増えてきています。

特にロレックスなどの高額腕時計などは、外見はまったく同じで中の蓋を開けてみないと判断できないものも多いです。(※最近では中蓋を開けてもぱっと見は本物に見せかけているほど手間のかかった偽物も流通しているほど)

当然素人であれば確実に本物だと信じ込んでしまうような偽物も多数流通しているため、この辺りの対策は今後必須なのではないかと個人的には感じました。

メルカリがブランド品買取業界に与える影響

実際にメルカリによってブランド品買取業界が少なからず打撃を受けているのは事実です。

ブランド品の財布や小物といった低価格な品物は、すでに買取業者よりもフリマアプリで売ることのほうが主流となりつつあります。

メルカリでの流通額は年間1,000億円以上といわれていて、中古ブランドを扱う最大手の「コメ兵」でさえ年間売上高が350億円ほどとなっています。

もちろんメルカリはブランド品だけではないため、単純な比較はできないものの、全国チェーンする中古ブランド業者でも市場規模にはこれほどの差があるのです。

メルカリメゾンズによって今後さらにフリマアプリでのブランド品の流通が活性化すれば、その影響はいよいよ見逃せないものとなっていくでしょう。

CtoCの取引でブランド品が取り扱いづらいことは変わらない

フリマアプリやネットオークションなどの「CtoCサービス」においてはブランド品などの高額品が扱いづらい点は変わりません。

メルカリでもブランド品の撲滅は大々的謳っているものの(メルカリ 偽ブランド品 撲滅への5つの取り組み)、あくまで市場に出る段階で偽ブランド品を弾くためには買取業者などと同じようにプロの目が必要になります。

メルカリは今や非常に物を売りやすい市場であることに疑いの余地はありませんが、買う側から見て信頼のある商品が並べられているかは別の話なのです。

個人同士の取引であるCtoCサービスにおいてはブランド品のような信頼を売っている商品は不向きであると感じざるを得ません。

ブランド専門フリマアプリは中古ブランド業界大手「コメ兵」も準備中

中古ブランドの業界最大手である「コメ兵」もメルカリメゾンズのようなブランド品専門フリマアプリのリリースを準備しています。(2017年秋予定。正式発表はまだなので詳細は触れませんが・・・)

これは従来のフリマアプリに加え、買取業者であることを活かした「出品時にプロの鑑定士による鑑定サービス」が導入されると噂されています。

それによって偽ブランド品は一切出品できないシステムが構築されたフリマサービスをリリース予定ですが、手数料ビジネスであるフリマアプリ事業において、人の目を使った真贋鑑定を行い、どこまで手数料を抑えられるのかというのは疑問です。

メルカリは「出品の手軽さ」というのも大ブームを巻き起こした一因と考えられますが、出品数が多くなったときにリアルタイムでどこまで鑑定できるのか?という点も現状では難しいようにも思えます。

 

ブランド品が手軽に売れるようになるというのは良いことだと思いますが、「誰にでも手軽に」という風になればなるほど、偽物を販売する業者も潤ってしまうという点が一番の問題です。

メルカリメゾンズに関してはその点だけ少し気になりましたが、今もっとも勢いのあるフリマアプリが中古高級ブランド業界に本格参入してきたことを脅威に感じているところも少なくないでしょう。