CASH再開キャプチャ

6月28日にリリースされ、反響があまりに大きくその日のうちにサービスが停止してしまった「CASH」。

ですが8月24日に前体制を一新し再び再開が発表されました。

一日の取引上限を定めたり、キャンセル料15%が撤廃となったり、サービスとして新たな一歩を踏み出した「CASH」。

買取業者から見ても画期的なアイディアと爆発的な集客力であったことに疑う余地はありませんが、いまだに気になる点もいくつかありますので、今回は再始動したCASHについて考察していきたいと思います。

前回の記事も合わせてご覧いただければと思います。

前回リリースからの変更点

今回の再開で、前回との変更点をまずはおさらいしていきます。

変更が加えられた箇所は以下です。

  • 一日の取引上限を1000万円に設定
  • 実質キャンセル料だった15%を撤廃
  • 品物の返送期間を2か月から2週間へ
  • ユーザー評価制度を導入

問題だった箇所をうまく修正したという印象を受けました。

より安定して使いやすいサービスに

まずは一日の取引上限が「1,000万円」に定められました。

前回のサービスリリース時には一日で3億円以上という予想を超えた額がキャッシュ化されユーザーに送金されたことで、資金繰りが一気に苦しくなったようです。

上限を設けることで安定して資金を供給できるよう改良されました。

そして「キャッシュにする」を選んだのち「キャンセル(返金)」をすると発生する15%の手数料も撤廃され、自由にキャンセルできるようになりました。

品物の発送期間も2か月以内だったものを「2週間以内」に変更がされました。

ユーザー評価制度を導入して質の良いユーザーを優遇

個人的に一番注目をしたいのが「ユーザーの評価制度の導入」についてです。

これは「しっかり品物を送ってきたかどうか」や「品物の状態について虚偽がないか」などを運営側が評価するシステム。

評価の高いユーザーは査定時にも優遇され、評価の低いユーザーはサービスの利用を制限されたり、同一商品でも査定が安くなったりするようです。

サービスの特性上一定数は悪質なユーザーがいることは間違いありませんから、こうした施策は必須だったかと思います。

CASHのサービスの素晴らしい(?)ところ

CASHはキャンセル料を撤廃したことで「質屋アプリ」から「買取アプリ」に変貌遂げたなどと言われています。

実際に品物を送る前に現金化できるというビジネスモデルは素晴らしいと思います。

従来の買取店では、どんなに相場を調べたり、ホームページの参考買取額をリサーチしても、実際に現品を見てもらい査定してもらうまで金額はわかりません。

それを簡単な商品情報の入力と写真だけで判断できるようにしたことは単純にすごいの一言です。

実際に初回リリース時にはたった一日で一万点以上のアイテムが送られてきたと発表されていましたが、これだけの集客力はCASHのサービスの手軽さがもたらしたものであると考えます。

今までお金に換えたくても面倒だと思っていた人でも、アプリ上で買取が完結するCASHであれば利用してくれるということを証明してくれました。

問題点はただ一つ「査定が安い」ところ

ユーザーとして見たときの唯一の問題点は「査定が安い」ところです。

今回の再リリースにあたり「上限の2万円」というものは変更されていません。

あくまで少額資金ニーズに応えるためのサービスだということは明言しているものの、上限2万円で高級ブランド品を扱うのは難しいと個人的には思います。

前回リリース時に送られてきた品物のブランドの内訳を発表していました。

1位 adidas
2位 NIKE
3位 Apple
4位 Louis Vuitton

1位から3位までは納得できますが、4位には「ルイヴィトン」がランクインしています。

買取目線での話になりますが、ルイヴィトンは数あるブランドの中でも特に高額買取の傾向が強いブランドです。

定価こそそこまで高いブランドではありませんが、人気が高く売るときにも定価の30%程度の値が付く品も多いのです。

ルイヴィトンで2万円以下で売れるものってなんだろう・・・と考えると、本当にちょっとした小物しか思い浮かびません。

それこそコインケースやキーケースなどの小物しか2万円には収まりません。

にもかかわらずこれだけの数が送られてきたということは、財布やバッグなどの製品が混じっている可能性も非常に高いのです。

性善説に基づいた(?)ビジネスは査定の安さで調整されている!?

CASHは先にお金を振り込んでもらい品物を送らなかったり、偽ブランド品で査定をおこない偽物の品物を送ったりと悪用する抜け道が無数にあります。

そのため「性善説に基づいたビジネス」であるとされていますが、個人的にはそのリスクを査定金額で調整しているのではとも感じます。

前回私が自らブランド品を査定に出したときにも、CASHでの査定は相場の3分の1程度、もしくはそれ以下なのではないかと感じました。

もちろんユーザーが利便性などを考慮して納得して売っているのですから文句はないものの、性善説を謳うのであればもう少し査定に力を入れてもらえればもっといいサービスになるのではないかなと思います。

買取比較サイト「ヒカカク!」との業務提携を発表

再開の翌日には買取比較プラットフォーム「ヒカカク!」を運営する「株式会社ジラフ」と業務提携し、ジラフの持つデータと連携して査定を強化していくことが発表されました。

ヒカカク!はガジェットやブランド品から日用品までありとあらゆる買取相場を比較できるサービスで、このデータを活用しCASHの査定にも反映させていくようです。

これによって査定の精度がより一層高まることが期待できます。

ブランド品を現金化する方法はいくらでもある

CASHで集めた品物の卸先が気になるという方も多いと思いますが、高級ブランドの品に関してはいくらでも現金化する方法があります。

もちろんネット通販やCtoCサービスを利用して売るという手もそうですし、それ以外は買取業者間のオークション(BtoB)で売りさばくこともできます。

業者間のオークションは一般の方にはあまり知られていませんが、買取業者は買い取った品物を必ずしも自社で販売するとは限りません。

買取した品物は自社では販売せず、業者間オークションで売りさばくことを専門にした買取業者も存在します。

業者間では市場に流通している価格より安く取引されますので、自分で販売するよりも売値は安くなってしまいますが、それ以上に安く買取している限り赤字にはならないというビジネスモデルです。

そもそも相場よりも安く買取しているCASHは、これらを利用すれば大量のブランド品もすぐに現金化して回収することができます。

※その他海外への販売ルートや買い取った品物の卸先は無数にあります

買取業者には実現できなかったビジネスモデル!?

CASHのような即金のサービスモデルは、いくつもの買取業者で何度か提案され候補に挙がったこともあると思います。

ですが「査定にかかるコスト」を考えるとどうしても採算が合わない、もしくは「相当安く買取しないと無理」ということで断念されていたものです。

それまでは「即金になるなら安くてもいいから売る」というニーズはないのでは?と買取業者視点では判断されていました。

切り口は違うものの、そのニーズに目を付けリリースまで踏み切ったのがCASHです。

結果は今のところは大成功なのではないでしょうか?

メルカリやCtoCサービスによって低迷する買取市場においても、この結論は誰もが予想できなかったことです。

CASHのさらなるサービスの向上の期待も込めて今後も見守り続けていきたいと思います。