「株式会社バンク」が新しくはじめた「CASH(キャッシュ)」というサービスがとても斬新だと話題です。
ブランド買取業界に属す私としても気になるところでしたので、実際に手元にあるブランド品を使ってサービスを利用してみました。
“目の前にある品物が一瞬にキャッシュに変わる”というキャッチフレーズはとても信じがたいほどですので
- 本当にそんなすぐに現金に換えられるのか
- 果たしてブランド品の査定額はどんなものなのか
といったところを踏まえレビューしていきたいと思います。
このページの目次
一瞬で品物を現金化!?CASHとは
CASHとは手元にある品物の写真をスマートフォンを撮影してアップするだけで、査定金額に応じた現金が指定口座にすぐに振り込まれるというサービスです。
現段階では一点あたりの査定の上限は2万円と定められているようです。
振り込まれた現金に関しては
- 2か月以内に返金する
- 2か月に以内に品物を送る
もしくは
このどちらかを選択しないと取引は無効となります。(※取り立てにくるのかは不明です。ブラックリストに入れられることは間違いないでしょう)
そして返金する場合には15%の手数料が上乗せされます。
審査不要ですぐに現金化できる
CASHはスマートフォンのアプリを通して利用することができます。
貸金などと違って審査は不要で、電話番号とSMSを利用した本人確認認証のみとなっています。
取り扱いしている品物は?
主にブランド品やアパレル、そしてガジェットなどが対象となっています。
ブランドに関しては「Louis Vuitton(ルイヴィトン)」や「Hermès(エルメス)」といった高級品から、カジュアル系ファッションの「UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)」や「ZARA(ザラ)」レディース系ファッションブランド「LOWRYS FARM(ローリーズファーム)」や「earth music&ecology(アースミュージックアンドエコロジー)」などかなり幅が広いなという印象です。
残念ながらユニクロなどのファストファッション系ブランドは対象外のようですが、いわゆるファッションブランドに関しては網羅していそうです。
ガジェット類に関しては「SONY」「Apple」などがメインのようで、主にPC関連商品やカメラなどが対象となっています。
実際に利用してブランド品をお金に換えてみた
早い話、実際に利用してみようということで、手元にあるブランド品を使って即現金化を試してみたいと思います。
アプリをインストールして開いてみると真っ先にこの画面となります。
「まずはここから」となっているため指示通りにタップします。
そうするとブランドとカテゴリを選択する画面にいきます。今回査定に出してみたのはこちらのルイヴィトンのバッグです。
こちらの品物に関しては中古品の買取相場で6万円-9万円くらいの品です。
実際に買取大手の「コメ兵」と「大黒屋」に査定に出したところ
コメ兵査定額:85,000円
大黒屋査定額:70,000円
といった査定を一度いただいています。
それを踏まえてCASHに出してみました。写真を撮る前に商品の概要を選択します。
まずはこのように査定に出す品物の「ブランド」を選択します。ルイヴィトンは上のほうにあったためすぐに見つけることができました。かなり膨大な数のブランドがあります。
次に品物のカテゴリを選択します。
これもわかりやすくすぐに選ぶことができます。バッグのジャンルに関してはかなりきわどいですが「ボストンバッグ」と選択しました。
状態はかなり良かったため☆4つを入力しました。
これが終われば「アイテムの撮影へ」と移ります。
実際に品物の全体図が写るように撮影するだけでOKです。
ヴィトンのバッグは上限の2万円という査定
撮影したら即座に査定金額が反映されました。
査定金額は上限の「20,000円」と表示されました。相場だと最低でも6万円くらいはするものなので当たり前といえば当たり前です。
タップするだけで即座に査定し金額が表示されるため、本当に人が見ているかどうかは不明です。
少なくともブランド品鑑定士の目からすると、この画像だけではっきりとした査定を出すのは困難であるといえます。
ルイヴィトンの製品の場合偽物も多く出回っているため、最低限ロゴや金具・バッグの内側にある製造ナンバーを確認するのが基本です。
さすがにこのバッグを2万円で手放すのはあんまりなので、手元にある違うブランド品で試してみました。
上限にいかなそうなグッチのポーチを査定してみた
高額品だと上限にいってしまい正確な査定がわからなそうなので、次に買取相場が1万円-2万円ほどのグッチのポーチを査定してみます。
こちらの品物は同じく買取業者にて
コメ兵査定額:15000円
大黒屋査定額:7000円
といわれた品になります。
同じ要領で査定してみたところ
グッチのポーチは「3,500円」と査定されました。けっこうきわどいところを言ってきます。安いですが・・・
ヴィトンのバッグよりはまだ適正(?)な査定だったため、試しにキャッシュにするというところをタップしてみます。
そうするとアプリ内のウォレットという箇所に「3,500円」が無事キャッシュされたようです。
アプリ内のウォレットにあっても仕方がないため、現金として引き出してみました。
引き出しには別途「250円」の手数料が発生するようです。これは致し方ないですね。
そして銀行口座の入力を済ませて申請を完了させます。
これで申請は完了です。手続きは非常に簡単なため、品物を査定してからせいぜい5分もあればここまでたどり着けると思います。
申請から1分ほどで、SMSで「入金完了」のメールが通知されました。
銀行口座を見てみると本当に手数料を差し引いた「3,250円」がすでに振り込まれていました。
本当に数分で手元にある品物を現金化することができました。
そして驚きなのが換金したはずの品物がまだ手元にあるということです。
画期的なサービスであることは間違いないと思います。
いろいろと気になる点をまとめてみる
と実際に利用してみましたが、謳っている通り本当に簡単な手順で品物を現金に換えることができました。
しかしいろいろと気になる点もあったため少しまとめていきます。
本当に査定はおこなわれているのか?
そもそもこのサービスの査定は商品概要の入力とスマホで撮影した写真を送るだけです。
そして送ったと同時に査定結果が表示されるため、一点一点人が見て査定しているとは思えません。
膨大なデータベースがあるのか?それにしてもブランドが多すぎる・・・などいくつか不明な箇所も多いです。
査定金額は妥当かどうか
今回ブランド品二点を査定してみましたが、一つは上限(相場からすると当たり前)、一つは相場の1/3程度という結果になりました。
あくまでも即座に現金化するサービスということなので、どんなブランド品を出しても査定額は決して高くはないと思います。
これってさ。リサイクルショップでその場で写真撮って、値札より高かったら購入して差額をいただくという人が表れそうじゃない?/CASH|目の前のアイテムが一瞬でキャッシュに変わる https://t.co/tT2iF39R8l
— Tamako (@Tamako_ta) 2017年6月28日
ツイッターでもこれに似た意見が数多く交わされていましたが、おそらくこうした値段に届かない品が多数だと思います。
丁寧に査定しているわけではないため、全体的にかなり安めに設定されているはずです。
ティッシュ箱が2万円?―なんでも現金にできるアプリ「CASH」を試してみた https://t.co/aJ5wRwJI6i #CASH #iPhone pic.twitter.com/acgO3geQ7R
— インターネットコム (@jic_news) 2017年6月28日
あとは売れないような品物にも上限の2万円が付いた例もあるようなので、こういった対応はどうするのか?というのは疑問です。
さすがにティッシュを渡して2万円返金しなくてOKなんてことにはならないでしょうから・・・
一度キャッシュすると問答無用で取られる手数料15%
CASHをなんとなく試しに使ってみて、CASH返そうとしたら返金手数料15パーセントに気づき、早速3000円を失ったのは私です。
— くまみ (@kumakumasoda) 2017年6月28日
返金時に発生する「15%」という手数料がこのサービスの肝とでもいうべき部分です。
金利で換算すると「2か月で15%」という利息はかなり高めですが、質屋という区分で考えると、質屋営業法で定められているの月9%までなので、法外ではありません。
CASHは上限2万円の少額融資。心理ハードルの低さと、返金手数料としている15%は返金時の利子と考えられる。物品回収できないor不正利用の場合は即ブラックリストで、2万円損切り。電話番号のみで審査なし。未成年(子供)でも利用しようと思えば使えてしまう。ヤバい。
— 接触@ハイラル王国 (@3syk) 2017年6月28日
質屋は物を担保に貸し付けているようなものですが、CASHが少額融資といわれるのも頷けます。
ただ一度でもキャッシュにしてしまうと、即座に払おうが何しようが手数料15%が発生するのはすごい・・・というか怖いですね。
誤った使い方を決してしないよう皆様気を付けてください。
まとめ-CASHは流行るのかどうか?
今回実際に利用してみて、極端に言えば品物を写真に撮るだけで即座に口座に現金が入金されるというサービスには可能性を感じました。
しかし査定に関する不備や疑問もあり、少なくとも今以上に査定に関する精度などが高まらない限り利用者に価値のあるサービスだとは現時点では言えないかなと思います。
ブランド品など高額品の買取サービスだという見方をすると、どう考えても利用者は損をするのではないか?という設定に感じました。
ただし即座に現金を手にするための手段のひとつとみれば、前衛的である程度は理にかなっているサービスではあると思います。
CASHに関してはメルカリ以上の手軽さで品物を売ることができるため、流行る可能性も十分にありますが、改善すべき点も多々残されているように実際に利用してみて感じました。
個人的にはこのサービスが広く普及したらめちゃめちゃ儲かるんだろうな・・・と思います。ちゃんとした品物を回収できるのであれば。ですけどね。