年明けから中古ブランド買取業界には大きな相場変動が起こりました。
世界的に見ると、中国人の爆買いブームが鎮火していく一方で、カタールやUAEなどアラブ諸国、タイやベトナムなど新興国ではいまだにブランド品の需要が伸び続けていて、ブランド品の中古業界に大きな影響を与える要因ともなっています。
ブランド業界全体で見ると、低迷している高級ブランドも多いものの、「ROLEX(ロレックス)」や「HERMES(エルメス)」といった超高級ブランドは成長を続けていて、まさに二極化が進んでいるとも言えます。
そんな状況の中、エルメスなどの高額品に特化し、成長を続けている中古ブランド専門買取店「BRAND PEACE-ブランドピース-」さんに、お店のことや、気になる買取のこと、この業界の今についてのインタビューに応じていただきました。
(聞き手=買取キングダム編集長)
今回インタビューを受けてくれた人
ブランドピース池袋店 店長 津田康佑さん
出身地:大阪府
好きなブランド:エルメス
趣味:ゴルフ・スノーボード・ラーメン食べ歩き
ショップURL:https://www.brand-peace.com/shop/ikebukuro
簡単に自己紹介
「この度は当サイト”買取キングダム”のインタビューに応じていただきありがとうございます。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
「せっかくなのでまずは簡単に自己紹介をお願いしようと思います。そもそもなんでこの仕事をお選びになられたんですか?」
「やり始めたきっかけは、そもそも僕の家の家業でして、僕が小さい頃から、だいたい14年〜15年前から父がリサイクルショップを営んでいたんです。」
「お父様が創業者だとは驚きました!それにブランドピースさん、最初はリサイクルショップからスタートされたんですね。」
「そうなんです。違う名前だったんですけど、本当に今でいう”総合リサイクルショップ”という感じで、ブランド品だけでなく家電や家具なども取り扱っていました。」
「ブランド専門のショップになったのはいつ頃だったんですか?」
「総合リサイクルショップだったのは、最初の7〜8年で、そのあとはブランドに特化した”ブランドピース”というお店になりました。その過程も間近で見てきたため、気づいたら鑑定士として入社していたという感じですね。」
「そうすると初めは特に鑑定士としての経験や知識もなく入社したということでしょうか?」
「そうですね。全くの素人でしたね。正直特にブランド品に興味があった方でもなかったですし、自分で買うこともなかったので、ブランドに対する知識はほぼ皆無でした。」
「そこからどういう風に知識をつけていったのですか?」
「初めの半年くらいはお店には立たないで、ひたすらブランドに関する知識をつける勉強などをしていました。うちはもともと関西のお店しかなかったので、長いこと大阪の本社で研修みたいな形でしたね。それが終わると査定員としてお店でお客様に接客するようになり、いつの間にか詳しくなっていましたね。(笑)」
「ちなみに個人的な興味なのですが、関西・・・というか大阪のお客様と、東京のお客様って違いますか?」
「うーん、そうですね。少なくとも話をする長さは圧倒的に違いますね!」
「完全にイメージ通りのご回答ありがとうございます。(笑) 自己紹介の最後に、この仕事のやりがいや面白いところを教えてください!」
「面白いところは、常に新しいものを知ることができたり、流行に敏感になれるところですね。ブランド品の相場は流行によって大きく変わるため、一年前は買取でも安値だったものが、平気で2倍、3倍となることもありますし、そういったことを日々感じれる点は面白いですよね。」
「面白いかもしれませんが、流行に付いていくの大変だったりしませんか?」
「大変な部分もありますけど、そこは日々勉強です(笑) 流行をいち早く掴んでいるからこそ、お客様にも還元できると言いますか。それでお客様の想像を越えた金額を提示することができれば、それがやりがいにも繋がるという感じです。」
「相場の勉強って言うのは単純に覚えればいいっていうものではないんですね!」
他社と違うところ・強みや特徴について
「自己紹介ありがとうございました。それでは本題に移りますが、ブランドピースさんってそもそもどんなお店なんでしょうか?展開としては関西メインですよね?」
「そうですね。関東には池袋店の1店舗のみで、関西には心斎橋本店を含む6店舗を出店しています。店舗展開のメインというと関西になりますね。」
「買取方法も色々ありますよね?」
「買取方法は店頭と、店頭に来られない方は宅配や出張といった査定にもご対応しています。」
「その比率とかって教えていただけますか?」
「店頭が50%、そのほかの50%が宅配と出張という感じですね。」
「え、すごいですね。それってかなり多くないですか?」
「宅配は5年前くらいからやり始めていて、年々ご利用いただけるお客様は増えてきていますね。今まで店舗だけだとどうしても来ることができない、特に池袋だとアクセスがあまり良くないとも言われますし、そういった意味でも宅配は地方の方からもご利用いただけているので、インターネットのおかげなどもあり、そうした店頭以外の比率は増えている傾向にありますね。
「LINE査定も取り入れていますよね?」
「LINE査定も始めて1年くらいなんですけど、問い合わせの8割くらいがLINE経由のものになっています。」
「とりあえずLINEで値段聞いてみるお客さんが多いんですね。ちなみにこれ気になるところなんですけど、LINE査定の金額ってアテにしていいんですか?(笑) というのも、買取店によってはLINE査定だとすごい高かったのに、実際査定に出したら安かった・・・なんて声も聞きますので。(苦笑)」
「そうなんですか?(笑) 確かにうちとしても誤差が出るケースがあるのは否めませんが、できるだけ誤差がないよう細心の注意を払っています。ただどれだけ写真を送っていただけるかによっても判断が変わってきてしまいます。高額品になると小さな傷などでも査定に大きく影響するため、必要であれば”もう少しこういう写真を送ってください”と直接お願いして、画像だけの判断でも店頭と同じ査定金額をお出しできるようにはしています。」
「ではLINE査定の場合はできるだけ写真をいっぱい撮って送った方が良いということですね?」
「そうしていただけると本当にありがたいですね。それであれば金額の幅もほとんどなく、店頭と同じ金額でご提示できると思います。」
(※LINE査定の時は画像をいっぱい送るようにしましょう!!)
「次にブランドピースさんが一番力を入れているブランド品はどういった商品なのでしょうか?」
「特に力を入れているのはエルメスになりますね。」
「エルメスというとバーキンやケリーなどのバッグが真っ先に浮かびますが、そうしたバッグや財布などが強いという認識でよろしいでしょうか?」
「もちろんバーキンやケリーは人気も高いですし、うちも一番力を入れているところです。買取額も他社に負けないような金額だと自信を持っています。ただ今は心斎橋にエルメス館というお店があって、そこはバッグだけでなくアクセサリーなども置いていて、そういったバーキンやケリーといった人気商品だけでなく、トータルでエルメスの品揃えを充実させたいと思っています。そのため特にバッグや財布などに限定しなくても、エルメスの商品であればなんでも力を入れて特に高くお買取させていただいています。
「エルメスだけの中古販売店舗ってすごいですね。本当にエルメスが好きな人が購入したいものをそこに探し求めにくる。みたいなお店があるということですね!」
「そうですね。」
「言いづらいところかもしれないんですけど、逆にこういうブランド品は正直そこまで高く出せません。っていうところも聞いてみたいのですが・・・」
「そうですね・・・正直ブランドピースというお店のコンセプトとしても高額品を揃えているというお店作りをしています。なのでブランドに限らず、数千円くらいの品物はどうしても店頭では売りづらいため、買取としてもあまりお値段をお出しすることができないというのはありますね・・・。」
「安めのバッグだったりはあまり得意としていないということですね。だいたい定価だとどれくらいの品物がそれに当たるんでしょうか?」
「バッグですと、定価5万円以下くらいの品物は、正直得意にはしていないですね。洋服なども、先ほど言ったエルメスなどであればかなり高くお出ししているのですが、定価2万円〜3万円くらいの洋服はかなり安くなってしまうので、得意だとは言えませんね・・・。」
「言いづらいところまで、ありがとうございます! ちなみに津田店長が過去最高のお買取額だったケースっていくらくらいなんですか?」
「店頭にいらっしゃった方で一番高額だったケースは1500万円くらいですね。」
「1500万円⁉︎それはすごい・・・。ちなみにどんなブランド品を持ってこられたのですか?」
「クロコ素材のバーキンなど、エルメスのバッグを10点くらい持ち込んでいただきました。その後も常連さんになっていただき、そのお客様には定期的に査定させていただいておりますね。」
「1500万円分のバッグを店頭で査定してもらうってすごすぎます・・・。」
「そのお客様は店頭にいらっしゃってくれますが、うちは出張なども対応するので、量が多い場合にはそういったご相談もしていただければありがたいですね。」
(世の中にお金持ちっているんだなぁ・・・)
「そもそも買取額ってどうやって算出されているんですか?これもお店もよっては査定員次第で結構変わるっていうところもあると思うのですが。」
「うちもリサイクルショップの時代から15年分のデータがありますので、基本的には自社のそういった過去のデータを元に金額をお出ししています。もちろん査定員の好みだったり、売れる売れないの判断と言いますか、主観があるので、多少上下することはあるかもしれませんが、過去のデータを元にしている場合がほとんどのため、どのお店でもそこまで査定は変わりません。」
「しっかり15年分のデータを管理されているのですね!あと、さらに言いづらいところかもしれないんですけど、金額交渉ってあるじゃないですか?」
「はい。」
「正直どのくらいしてもらえるものなんですか?(汗)」
「そうですね。新品の商品に関しては、売る金額と買う金額がほぼ決まっているっていうところがありますので、そういった品物は金額交渉をお受けすることはできません。その代わりうちがお出しできるめいいっぱいの金額をお伝えしています。」
「中古品であればできるということでしょうか?」
「中古品の場合はどうしても査定員によって傷や状態の判断が異なります。また買取後にクリーニングしてから販売するということもおこなっているため、落ちそうな傷や汚れであれば、多少は交渉に応じられるかもしれません。もちろん初めから高い金額を提示しているため、大幅な査定アップは難しいです。」
「ありがとうございます・・・! では中古品の査定で希望金額に少しだけ届いてない・・・という際にはお願いしてみても良いということですね!」
「そうですね。その際は是非おっしゃってください。」
「この項目では最後の質問なのですが、せっかくなので今リアルタイムに相場が高い!売り時です!っていう品物を津田店長チョイスで教えてください。」
「そうですね・・・。今は新品だけでなく、10年前や20年前などバブルの時代に購入されたエルメスのバッグなどに高値がつきやすいです。というのも2015年くらいの中国バブルの時に、それらの商品は海外にたくさん販売してしまっていて、国内にはほとんど残っていません。数が減ってきたので、当然相場も高くなってきていて、今まだ眠っているバッグがあるという方は、買取額も高くなっているので、今売るとお得かなと思いますね!
池袋店のことについて
「もともとブランドピースさんは心斎橋本店をメインに、関西を中心に展開しているとおっしゃっていましたが、池袋にお店を出したきっかけってなんだったんでしょうか?」
「関西だけでやっていた頃は、もちろん店頭に買いに来られる方もいらっしゃいましたが、楽天などECサイトでの販売もメインにやっていました。その中には関東のお客様が非常に多かったんです。特にうちはエルメスなどの高額品をメインに販売しているので、お客様の中から”実際に手に取って見てから購入したい”という声がたくさん届くようになりました。そうなると関東にも出店しないとダメだなということで。」
「確かにいくら高額品とはいえ、関西まで見にきてくださいとは言えませんもんね。」
「そうですね(笑) それで関東にお店をという中で、ここ池袋にお店を出すことが決まりました。」
「イメージでは中古ブランドのお店って買取を増やしたい。という意図でお店を展開していっているのだと思っていましたが、ブランドピースさんは販売ニーズに応えるという目的が第一だったのですね。」
「もちろん買取も。なのですが、池袋店は買取センターという看板になっていますし(笑) ただ楽天などで商品を見ていただいて、実際に手に取って見たいという関東のお客様の声がありましたら、大阪の店舗からでも品物を取り寄せますし、そこで見ていただいて購入していただくというケースも多いです。
「関東進出にあたり苦労したことはありますか?」
「個人的なことなんですが・・・どうしても標準語が難しくてですね・・・。」
「ほう・・・(編集長は東京出身)」
「関西弁が出ないよう、標準語で話せるようになるのには苦労しましたね。」
「油断するとまだ関西弁出てますよ(笑)」
(笑)
「ちなみに今後池袋以外にも出店していくみたいな動きってあるんでしょうか?」
「池袋だけだと、やはり千葉や神奈川の方からのアクセスが悪いということもありますし、新宿や銀座などの主要都市にはお店を出していきたいなという方針ですね。予定はまだないんですけど、今後はそういう流れになっていくと思います。」
今の買取業界について
「最後にかなり大雑把な括りではあるんですが、今の買取業界についてというテーマでいくつかご質問させていただきたいと思います。」
「はい。」
「今って若い世代がブランド品にあまり興味を持っていなかったり、中古だとなおさら売れているの?っていうのが疑問ではあるんですけど、今の中古ブランド業界って買取多いですか?また正直販売って売れていますか?」
「そうですね。僕も今28歳で、確かに同世代の友人とかってハイブランドの購入ってあまりしませんよね。ただ不思議なもので、蓋を開けてみるとと言いますか、中古市場の規模も毎年大きくなっていますし、好きな方は好きなままで、買取も販売も減ったという認識はありませんね。若い方もお年を召した方も、意外とブランド品を持っているんだな。まだまだ購入意欲あるんだな。って思いますね。」
「お客さんの年齢層も変わったという感じはしませんか?」
「年齢に関しては、変わりませんね。ただ販売に関しては、やはり観光客の方、外国人の方の販売比率は増えていっているのかなとは思います。」
「それは中国人の観光客の方という事でしょうか?」
「それこそ3〜4年前に関しては、ほとんどが中国の方でした。しかし近年ではアメリカやヨーロッパの方、フィリピンやマレーシアの方なども年々増えている感じがしますね。」
「国内の小売店でありながら、海外向けの販売を意識しないといけないとはとても大変なんですね。」
「逆に外国人の方なしでは成り立たないくらいのイメージではありますね。」
「次に当サイトでも推奨しているところなんですけど、インターネットの普及によって、買取店の口コミだったり評判を手軽に見れるようになり、より高く売りたいから複数店の買取店で査定額を比較される方も増えていると思います。そういった比較されることに対してどう思われていますか?」
「ブランドピースとしても、お客様にご提示できる最高の金額を提示するよう常に意識しています。ただそれでもご購入された金額からは半額になる、使用感があればもう少し安く、といったケースは当然出てきます。」
「中古のブランド品は買った金額の30%くらいで売れたらかなり良い方ですもんね。」
「どうしても販売相場が安いものだとそうなってしまいますね・・・。お客様にもご希望の金額などもありますでしょうし、その上で他店の金額も知りたいというのはとてもよくわかります。ですので、他にも回ってみたいところがあるという場合には、実際にいってみて、最終的にご納得いただいた上でご売却されるというのがベストだと考えておりますので、比較したいというお客様には是非お手数でなければ。という風に考えていますね。」
「比較することに対しては推奨したいってことですね。」
「そこは是非という感じですね。」
「ただ今って買取店以外でも、メルカリだったりフリマアプリで簡単にブランド品を売ることができるじゃないですか?」
「はい。」
「そこのところの影響ってどうですか?売り上げって落ちているものですか?」
「うちも数千円の衣類であったり、そういった品も多少は取り扱いしているため、正直その部分っていうのはメルカリなどに流れているのかな・・・という印象はあって、低価格帯の品物の売り上げっていうのは正直年々落ちているなって感じますね。
「やはりそうなんですね。」
「ただ逆にメルカリとかを利用する方が増えることによって、中古品への抵抗っていうのはなくなってきているのかなって思うんです。プラスアルファ数十万円以上する高いものを売るってなると、顔を見て売りたいであったりというご意見も多いと思うので、我々のような買取店もまだまだ需要があるのかなって感じています。メルカリだったりフリマアプリが人気になって中古の関心を高めてくれるっていう意味合いでは、むしろプラスなことの方が多いのかなとも個人的には思いますね。
「先ほどおっしゃってたように高額品に特化しているブランドピースさんだからこそ、あまり影響を受けていないということですね。」
「そうですね。フリマアプリによって売上が落ちたとかっていうイメージはほとんどないですね。」
「最後に、当サイトをご覧になられてる方は、どこで売ったらいいのか?そもそも高く売れるの?など何らかの迷いをお持ちの方が多いと思います。そういった方に店長からアドバイスがあればお願いします!」
「売る際に考えることって、もちろん金額が第一だと思います。しかし中古市場のことを詳しく知っているお客様ってほとんどいないと思うので、まずは何社か見積もりを出してみるっていうのはお勧めしたいところです。あとは鑑定士の人をどれだけ信用できるかだと思っています。それを知る上でもいくつかのお店で査定に出してみて、実際に鑑定士の人と喋ってみて、ここで売りたい、この人に売りたい、信用できるなって思える人に売却するというのが、お客様自身一番ご納得がいくと思います。金額はもちろんですが、最終的にはそういった観点で選んでみるというのも一つの手かなと思いますね。」
「最終的には人と人のやりとりですもんね。その気持ちは確かに大事にしていただきたいなと私も思います。この度は長々とインタビューをお受けくださりありがとうございました。」
「こちらこそありがとうございました。」
今回の取材協力していただいたお店
高級ブランド買取専門店 ブランドピース-BRAND PEACE-
URL https://www.brand-peace.com/
所在 〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-28-6 大和産業ビル1F
TEL 0120-918-400
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