その場で写真を送るだけで、物を送る前に現金化できる買取アプリ「CASH(キャッシュ)」が今年はとても話題になりました。
それに伴い、先日ネットでこんな記事を見つけました。
この記事で二人が語っている内容を以下のようなことです。
- CASHを利用するのはメルカリに出品するのすらめんどくさいと感じる層
- 下流層の人は現金化の速さを選び、有利な条件でなくとも売ってしまう
- 何も考えていないと搾取され続ける=CASHはそうした下流食いビジネス
買取アプリのCASHに関しては、私自身同じ買取業者として様々な意見があります。
今回は上記のようなテーマの考察と、利用ユーザーに対して思うことなどを書いていこうと思います。
このページの目次
思考停止して楽しようとする人は損をする
上記した記事は「思考停止して楽しようとする人は結果として損させられる」といった内容が主でした。
これに関して言うことはありませんが、ただメルカリなどでもかなり楽にものが売れるようになった今「それでもまだ楽したい人がいる」と考え、目を付けサービスを生み出したCASHの商才は素晴らしいものがあります。
「目先のお金」に尽きると思いますが、上記の記事内でも少しふれている「ZOZOTOWN」のつけ払いサービスも同様です。
“少し多く払ってでもその場ですぐにお金払いたくない”
“少し安くなってもいいからすぐに現金がほしい”
こういった需要はおそらくどのサービスにも一定数存在しているものなのでしょう。
CASHのビジネスモデルの優れた部分
CASHがリリースされたときは、とにかく「新しいモノ」といった意見がネット上にとても多く見られました。
実際に買取サービス全体でみると、ブランディアなどをはじめとした「宅配買取サービス」に徐々にシェアが広がっています。
要するに使いやすくなっていて、今まで買取に手を出さなかった若年層の利用者もとても増えています。
メルカリなどはまた別の角度から、品物を手軽に売ることに特化していて、買取業界も脅かす存在となっています。
それを踏まえても、CASHは新しいサービスだ!と思わせる特徴があったのです。
換金スピードがどのサービスより速い
CASHに関しては私自身も初回リリース時に一度利用しましたが、とにかくやることは「写真を撮るだけ」といっても過言ではないほどでした。
その場で買取を成立をさせれば、向こうは品物を直接見ていないにも関わらずお金を振り込んでくれます。
今までの買取は鑑定士が実際に目で見て確認してから金額を決めるため、確実にその分の手間がユーザー側に発生していました。
ブランド品の場合は「状態」や「真贋」など様々な項目で査定金額がはじき出されるため当然といえば当然です。
しかしCASHは物を見ずに、状態に関しては自己申告のみ、真贋に関しても「性善説」に基づいて、ユーザーを信頼しているという前提で買取してくれます。
それによって「買取サービスでありながら即金対応」のビジネススタイルを確立した点が、今までのサービスとは異なる点です。
ただし査定はそれなりに安いというハナシ
CASHの査定に関しては、事前にデータベースで管理されている数字があるのだと勝手に予想しています。
実際にこの買取相場に関しては、買取業者間で比較してしまうと「どこよりも安い」といっても過言ではないでしょう。
物を見ていないリスクを考えれば当然かなと思いますが、それでもこれだけ売る人がいるということは、上で述べた“少し安くなってもいいからすぐに現金がほしい”といった客層が利用しているのでしょう。
本当にラクできるのか考えてみる
お金が早く欲しいのはわからなくもありません。(当然、私としては少し待って高く売れるほうが良いですが・・・)
しかしそのほかの部分で「楽だと感じる手軽さ」について考えていきたいと思います。
実際に「CASH」の買取利用の流れとしては以下です。
- CASHのアプリから査定する(写真を撮る)
- 金額に了承ならば即買取成約⇒現金が振り込まれる
- 後日集荷をかけて二週間以内に品物を送る
そして買取業者を利用した「宅配買取」の流れは以下です。
- ホームページから申し込み・集荷依頼をかける
- 業者に到着次第、査定がおこなわれる
- 後日査定結果が通知、金額に了承⇒現金が振り込まれる(たいてい即日)
こうして比べてみると、お金が振り込まれるのが「先か後かだけ」の違いで「必要な作業」はほぼ変わりないことがわかります。(業者によって中には申込書などを書かなくてはならないところもありますが微々たるものです。
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ラクさという意味ではほぼ変わらないはずなのに、どうしてだか「先にお金がもらえると利用もラク」だとユーザーは感じてしまうようです。
三日ほど待つだけで高く売れる
査定金額が安いといいましたが、CASHの査定金額は体感的には「買取業者の半分くらいの額」だと感じます。
初回リリースのレビュー記事でも書きましたが、査定したグッチのポーチは以下のような金額差です。
- CASHの査定額:3,500円
- ブランディア査定額:9,200円
- コメ兵の査定額:15,000円
比較できる対象がこれだけなので確実なことは言えませんが、全体的に高く見積もっても相場の半額くらいかなと思います。
買取大手のコメ兵も実際に宅配買取をおこなっていて、三日程度で査定結果が届くようなシステムです。
三日間待つだけでこれだけ金額が上がるなら・・・と思ってしまうのですが、どうでしょうか。
ましてやメルカリなどを利用して売れば、多少手間は増しますが2万円以上でも売れるはずです。
今後CASHも査定に力をいれていくと発表していますが、せめてもう少し相場に寄せた金額でないと「下流食いビジネス」と呼称されても仕方ないように思えます。
即金を手にしたい人がとても多い業界
ただやはりCASHがこれだけ話題になってより強く感じることが「買取スピード」は本当に大事だという点です。
上記した例のようにここまで安くなるとわかれば躊躇する人はいると思いますが、それでも速いに越したことはありません。
実際に当サイトに検索エンジンから訪れる人の中には以下のような、
「ブランディア 査定 何日?」
「ブランド品 買取 早い」
などといったキーワードから訪れるユーザーも多く、より素早く手元の品を換金したいという需要は多いように感じます。
ほかにも様々なお金にまつわるサービス「ゾゾのつけ払い」「リボ払い」「カードローンやキャッシング」などを見ても思いますが、
“お金を払うなら後が良い”“お金をもらうなら先が良い”こうした欲求は、ある意味では真理なのかもしれません。
先の記事にあった「下流層食いビジネス」という言い方には賛同こそしませんが、少なくとも買取において相場などへの知識のない人が食い物にされるという面は事実です。
ブランド品の相場への理解も無く、即金がほしいともなればそうしたビジネスの対象になるのは当然といえば当然です。
そのためブランド品をはじめとする「価値のある品」を売りに出す際には、最低限「品物のだいたいの相場」くらいは調べていただくことが、ユーザーにもメリットになると思います。
性善説に基づいたビジネスモデルへの違和感
最後になんとなく最近流行っているような「性善説に基づいたビジネス・・・」なのですが、CASHもそうですし、ゾゾタウンの送料自由なんかもそう呼ばれていました。
これに関してはただただ最初から損失分も加味した金額が設定されているだけっていう話なのではないかと。
金額や利便性どちらともがユーザーに寄り添ったサービスでない限りは、性善説に基づいたビジネスというのは違和感を覚えてしまいます。