高級ブランド業界の力関係や組織の大きさや規模などを調査してみました。

「どこのブランドはどこのブランドの傘下か」などもわかりやすくまとめ、現在のブランド業界の情勢なども解説していきたいと思います。

高級ブランドの勢力図ってどうなってるの?

ブランド勢力図

現在ブランド業界には「三大勢力」といわれる大きなブランドグループがあり、それに次ぐブランドグループが二つあります。

それに属していない有名ブランドはどのブランドグループにも属しておらず、独立ブランドとして展開している場合がほとんどです。

三大勢力「LVMH」「ケリング」「リシュモン」とは

ブランド業界で三大勢力といわれている大きな組織が3つ存在します。

  • LVMHグループ
  • ケリング(元PPR)
  • リシュモングループ

この3つの組織は「三強」と呼ばれ、ブランド業界でも大きな存在感と市場規模を誇っています。高級ブランド以外にもスポーツブランドやその他の業界まで手掛けているものも多いです。

LVMHグループとは

三大勢力の中でももっとも大きくブランド業界を牛耳るといっても過言でない最大組織が「LVMHグループ」です。

LVMHは「ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー」の略で、世界的高級ブランドである「ルイヴィトン社」と、モエ・エ・シャンドンなどを手掛ける「モエ・ヘネシー社」が合併し立ち上げられた組織です。

組織のバッグには主要株主として「Christian Dior(クリスチャン・ディオール)」がいます。組織創設後も様々なブランドを買収していき今のような大所帯となりました。

主な傘下ブランド

Louis Vuitton
Christian Dior
LOEWE
CELINE
KENZO
EMILIO PUCCI
BVLGARI
FENDI
GIVENCY
MARC JACOBS
FRED
TAG HEUER
ZENITH
HUBLOT

傘下ブランドをざっと並べてみても、日本でも名前の知れた超一流ブランドばかりです。独立ブランドである「Hermès(エルメス)」も傘下に加えようと今現在画策しているという噂もあります。

先ほど挙げた「モエ・エ・シャンドン」以外にも「ドン・ペリニヨン」「ヴーヴ・クリコ」「ヘネシー」などといったあらゆるお酒のブランドも傘下に加えていて、ブランド業界以外にも大きな力を持っています。

売り上げ規模はグループ全体で376億ユーロ(およそ4兆円)。世界の高級ブランド市場が30兆円程度だといわれているので、全体の7分の1程度をLVMHグループが占めているといっても過言ではありません。

ケリング

2013年に「ケリング」という商号に変更されましたが、もとは「PPR(ピノー・プランタン・ルドゥート)」という組織で、これがブランド業界第二の勢力と位置付けられています。

アパレルとアクセサリーを中心としたブランド展開がメインながら「PUMA」や「VOLCOM(ボルコム)といったスポーツブランドも展開しています。

主な傘下ブランド

GUCCI
BALENCIAGA
BOTTEGA VENETA
Yves Saint-Laurent
Alexander McQUEEN
Sergio Rossi
Christopher Kane

グッチを中心に据えたブランド展開を幅広くおこなっていて、三大勢力の中では日本市場をもっとも重視しているといわれる、日本国内でのブランド展開に力を入れています。

グループ全体の売り上げ規模はおよそ1.5兆円。その中の3分の1程度はプーマなどのスポーツブランドの売り上げが占めています。

規模で比較するとLVMHグループよりはかなり劣りますが、ブランド業界の第二勢力といわれています。

リシュモングループについて

最後のひとつがスイスを拠点とする企業グループの「リシュモングループ」です。

スイスの高級時計ブランドを中心として「cartier(カルティエ)」など、ジュエリーや時計に強いブランド展開しているのが特徴です。

主な傘下ブランド

Cartier
Dunhill
Chloe
Van Cleef & Arpels
A.Lange & Sohne
Jaeger-LeCoultre
Vacheron Constantin
IWC
PIAGET
PANERAI
Roger Dubuis
Montblanc

主にスイスの高級時計メーカーのそうそうたる顔ぶれが名を連ねています。

グループ全体での売り上げ規模はおよそ1.3兆円で、上の二つの組織に続くブランド業界の三番手だと言われています。

その他のブランドグループ

三大勢力に続くグループとして筆頭に挙げられるのが、こちらもスイスを拠点にした時計メーカーのグループである「スウォッチグループ」です。

「OMEGA」「Breguet」「HARRY WINSTON」など名だたるメーカーを傘下にしていて、リシュモンに続く一大組織になりつつあります。

もう一つ「プラダグループ」もPRADAやMIUMIUといった強力な独立ブランドを中心に、小さなブランドをいくつも傘下にしています。

グループに属さない独立ブランドも多い

ブランドを展開していく上で必ずしもグループに属す必要はありません。有名どころのブランドでも独立ブランドとして群れを成すことなく展開しているものも多いです。

世界中の女性に支持され続ける「CHANEL(シャネル)」や、ラグジュアリーブランドの最大手「Hermès(エルメス)」などもどのグループに属すことなく独立ブランドとしての地位を高めています。

高級時計の最大手「ROLEX(ロレックス)」のように、グループはおろか上場すらしていない稀有な例もあります。(それでいながら世界優良企業ランキングで「Google」や「ウォルトディズニー」などを抑え1位になっています。)

上場していて株式公開している独立ブランドは常に買収される危機にさらされてはいるものの、圧倒的な世界観と独自のブランド展開を築く高級ブランドも多々あります。

まとめ

Louis Vuitton

このようにブランドの展開にはグループとして大きくなっていくものや、独自ブランドとして着実に地位を築き上げるものと様々です。

独自ブランドのように他に影響されずに圧倒的個性を持つ高級ブランドも成功といえますが、グループに加わることで相乗効果を追い風に売り上げを爆発的に伸ばすケースもありこれも成功といえるでしょう。

イタリアのレザーブランド「BOTTEGA VENETTA(ボッテガ・ヴェネタ)」も買収された当時は総売り上げ「5600万ユーロ(およそ78億円)」程度でしたが、ケリングのグローバルな戦略により今では「12億ユーロ(およそ1400億円)」と、ここ十数年で18倍近い数字の伸びを記録しています。

ボッテガヴェネタがもはや日本でも知らない人のほうが少ないほどの有名ブランドになりえたのは、ケリングによるブランド買収が大きく関わっています。

LVMHグループは近年ずっと独立ブランドである「Hermès(エルメス)」を傘下に加えようとしているという話が尽きませんし、今後も高級ブランド業界は時代に応じて目まぐるしく変化していくことが予想されます。