投資価値が高いもの・・・と聞かれて頭に浮かぶものは何でしょうか。

純金やプラチナですか?それとも有価証券の類・・・今だったら仮想通貨なども候補に挙がるかもしれません。

ましては物となれば新品より中古品が高い品などそうそう見つかりません。

そんな中で投資目的でブランド品を買おうなんてと思う方はほんのごくごく僅かです。

ですが今回投資価値が高い資産としてテーマにさせていただくのは「エルメスのバーキン」というバッグです。

数ある投資先に対して、何よりもバーキンの投資価値が高いと断言する所以は「定価で購入してすぐに売ってもそれ以上の値段で売れる」ためです。

それは同じブランド品でも年数を重ねて価値が高まるといわれているロレックスなどとも違い、バーキンだけが持つ高い資産価値だからこそ起こりうる現象なのです。

何故バーキンはこんなにも高い価値を持ち合わせているのか

資産価値が高いエルメスのバーキンブラック

“定価で購入してすぐに売っても定価より高く売れる”なぜバーキンはこんなことが起きているのでしょうか?

一言で片づけてしまうのであれば「定価より高くても買う人がいる」すなわち「定価で買いたくても買えない人がたくさんいる」ということです。

バーキンの場合はこれが日本国内だけの問題ではなく、世界中で常に品薄の状態が続いているのです。

世界中のセレブがほしがるステータス

エルメスのバーキンは比較できるバッグがほかに存在しないといっても過言ではないほど高いステータスを持っています。唯一比較できるのは同ブランドから出ている「ケリー」くらいでしょう。

ルイヴィトンやシャネルといった人気高級ブランドは数あるものの、バーキンのように定価100万円以上するバッグでこれだけメジャーな商品はありません。

言ってしまえば「ハイブランドのバッグで頂点に立つステータス」を兼ね備えているのがエルメスのバーキンというわけです。

バーキンはすべて手作りで作られていて、作業は一人がひとつのバッグを最後まで完成させます。ハンドメイドでも分担制が多い現代では、珍しく完全な手作り製法を取っています。

それゆえに大量生産はできません。世界中でバーキンを求める需要に対して正規ブティックでの供給は全く間に合っていないのです。

一見さんはお断り!?バーキンはVIPしか買えない

新品のバーキンを買うためにはエルメスのブティックに行く必要があります。しかしバーキンはほぼ100%といってよいほど表には陳列されていません。

そして一見さんが実際にお店に行って“バーキンありますか?”と聞いても絶対に案内してくれません。

エルメスの顧客として認められた人や、特別なVIPでない限りそもそもバーキンを案内すらしてもらえないのです。

定価以上の値段で売られている中古品

欲しくても買えない人がいるとなると、当然そのもの自体の価値は高騰していきます。

アイドルのコンサートチケットなども近年価格の高騰や転売が問題視されていることが、バーキンの場合それが世界規模で起きているのです。

現在バーキンの定価はもっとも安いものでも130万円前後~となっています。しかしいわゆる中古ブランド業者での販売価格は180万円~くらいで売られているのです。

もし定価で購入してすぐに中古業者に売却した場合でも150万円くらいで売ることができます。

買ったその場で売りに出しても、必ず20万円も利益が出るという驚異的な資産価値です。

昔からこんなに人気があったわけではない

hermes

バーキンは今でこそ多くの人が知る高級ブランドのバッグの代名詞のような存在になりましたが、ここまで人気となったのは比較的最近のことです。

バーキンがはじめて発売されたのは1984年で、この時の定価は今の半値以下の50万円ほどでした。

そこから素材やカラーバリエーションが増えるとともに定価も上がっていき、2010年くらいに定価が100万円を越えました。

ですがこの時100万円のバーキンは、当時は売ってもせいぜい50万円ほどでした。たしかに中古品としての換金率は高いものの現在のようにプレミア価格とは到底言えないような金額です。

2010年以降のSNSの普及で高まった人気

バーキンの人気が本格的に高まったのは2010年以降「SNSの普及」が最大の理由だといわれています。

SNSが普及したことで海外セレブなど著名人がバーキンを日常的に着用していることが広く知られるようになったのです。

それにより口コミでバーキンの人気や知名度も爆発的に上がっていきました。

中国人富裕層の特需が最終的に引き金に

ここまで価格を押し上げた要因には「中国人の爆買いブーム」も大きく関わっています。

世界的にも有名でしかも入手が困難で抜群のステータス性を兼ね備えているバーキン、中国人の富裕層が欲しがらないわけがありません。

そして彼らは金に物を言わせて「高くても良いからバーキンを買いたい」と考えるようになりました。そこで狙われたのが日本の中古市場です。

中国人の日本の品物に対する信用度は絶大です。母国なら中古のバーキンなど偽物の確率が高すぎて手が出せませんが、日本の企業が販売しているのなら彼らは本物だと安心して購入します。

その需要にこたえるように国内の中古ブランド業者も国内外問わずバーキンを高値で買い集め、それをさらに高値で中国人に売るという構図によってバーキンの価値は今の水準まで達したのです。

100%価値が上がるバーキン“クロコ”

バーキンクロコは特別高い

バーキンは牛革などを使用した通常のもの以外にも、珍しい革を使用した製品があります。もちろんこれらは顧客ですら案内してもらえないような通常のバーキンよりもさらに貴重な品です。

特殊な革素材では「リザード(トカゲ革」」「オーストリッチ(ダチョウ革)」「ポロサス(ワニ革の一種)」「アリゲーター(ワニ革の一種)」などがありますが、中でも「クロコ(ワニ革)」のバーキンはもっとも価値が高い一品です。

クロコ素材のバーキンとなると通常の3倍近い値段になり、新品定価350万円~と超高級品の部類です。しかしこれが中古品となれば相場は500万円以上とさらに高額になります。

実際に過去に発売されているクロコのバーキンは中古市場において全て定価以上に価格が高騰しています。

バーキンの現在の売値などはこちらに記載↓↓↓

バッグ用のワニを飼っているエルメス

クロコ素材のバーキンが高額な理由は素材の確保の難しさが一番に挙げられます。

通常動物の毛皮は食料品の副産物として発展した製品です。バッグで使用する牛革などは原則として、食用の牛として飼われていたものの革を利用して製作されます。

それに引き換えワニは革として利用する以外の価値がありませんし、人間が飼育する上で危険などの理由もあり育てるコストがほかの動物より高額です。

ワニはストレスを受けやすくストレスが増えるとほかのワニと喧嘩して傷つけ合うという習性もあり、革の品質を維持するだけでも莫大な労力がかかります。

エルメスはクロコ素材の確保のために独自でワニを飼育していますが、実際に取れたワニ革で利用するのは最高級の部分だけで、全体の10%ほどだと言われています。

一般的に高品質なワニ革の原価で換算すると、バーキンの大きさなら12万円ほど試算されますが、エルメスではそれ以上コストをかけて作成しているのではと憶測されます。

究極のバーキン「ヒマラヤ」

中でも究極のバーキンとして知られるのが、クロコ素材の中でも特に希少で、年に数頭しか生まれないという希少なワニが持つ上質なクロコを使用した「ヒマラヤ」というモデルです。

これに関しては定価が540万円という値段に対して、中古市場での販売価格は1,000万円を越えるという超プレミア価値がついています。

こんな高いバッグ誰が買うんだ!?と思われるかもしれませんが、信じられないことに入荷したと同時にすぐ売り切れるような人気の代物です。

希少な素材を使ったバーキンでは度々これくらいの価格高騰が起こりえます。

バーキン「ヒマラヤ」

(画像は「ヒマラヤ」バーキン 参照元:25ans(ヴァンサンカン)

これから先も価値は上がるのかどうか?

中国人の特需も終わり少し相場も落ち着いてきていることや、人気に伴い多少の値段の上下は多少あるものの、今後バーキンの価値自体が著しく下がるということはあまり考えられません。

エルメスの販売体制が変わるなどしない限り、現状のように欲しくても買えない人はこの先も尽きないはずです。

先ほど挙げたようなワニ革などの素材の確保年々難しくなってきているようですので、貴重なモデルに関してはさらに高騰していく可能性も大いにあります。

話が少しそれますがエルメスでは三か月に一度くらいの早いペースでスタッフの異動がされるといわれています。

これは過去にスタッフが中古品販売業者と結託しバーキンを横流しにして、ビジネスをおこなっていたことからこのような体制になったと噂されています。

資産価値が高く中古品ではより高額で取引されるバーキンだからこそ、このようなことも起こってしまうのです。

少なくともエルメスのバーキンという絶対的なステータスが損なわれることは、高級ブランド業界全体が揺らぐほどの事態です。

資産として購入する人が増えればそれはまたバーキンの価格高騰につながっていくでしょう。

ブランドバッグの頂点という地位は当分、もしくは永久的にエルメスが握り続けるのではないかと感じられます。