真の高級ブランドは安売りをしない

“真の高級ブランドは安売りをしない”

私は個人的にこのような印象を持っています。

とはいえ実際にはアウトレットがブームになり、高級ブランド品が安く買える機会というのは増えてきているようにも感じます。

そんな「海外高級ブランドのセール事情」について詳しく迫っていくとともに、アウトレットセールや並行輸入品などが与える「高級ブランドの資産価値への影響」なども解説していきます。




高級ブランドがセールをしないなんて過去のこと!?

高級ブランドなのにセールで買う。この一言だけでもそもそも矛盾を感じますが、実際に高級ブランドのセール品は市場に溢れています。

誰もが知るところだと「アウトレット」などが代表各です。

アウトレットモールが急速に流行りだしたのはここ十年くらいのことであると記憶していますが、それに伴って多くの高級ブランドもアウトレットに出店して安売りをおこなっています。

アウトレット出店が盛んな海外高級ブランド一覧


  • RALPH LOREN(ラルフローレン)
  • ARMANI(アルマーニ)
  • PRADA(プラダ)
  • Dior(ディオール)
  • SAINT LAURENT(サンローラン)

アウトレットに出店しているお店は、主に「前年度の製品や売れ残った商品」または「製造過程で傷がついてしまった訳アリ商品」などを安く販売する目的で作られています。

しかし高級ブランドの場合は「アウトレット専用商品」として工場ルートからそもそも別で作られた商品も多数存在します。

アウトレットで販売されているブランド品はアウトレット専用の製品!?

並行輸入品の多いアルマーニ

高級ブランドはアウトレット品といいつつ、そもそも一般の正規ルートではもともと製品化されていない「アウトレット専用の商品」を販売している場合もあります。

「アルマーニ」や「ダンヒル」などはアウトレット用に別ラインで製品を製造していることを公表していますし、非公開ながら多くのブランドでこうした製品があるのは事実です。

アウトレットでは“もともとは高額な製品を訳あり品だから安く買える”ことが本来のメリットなのに対して、これでは“そもそも安く販売するように作られた品を定価で購入している”ことと同じなのです。

アウトレットの場合値札には「定価」と「SALE価格」が記載されてどれくらい安くなっているかが一目分かるような売り方がされていますが、アウトレット用製品の定価は実際には市場に出ていないただの言い値です。

適当な定価をつけてさも平然と安くなっているかのように売られている点はある種業界の闇とも言えます。

並行輸入という名のディスカウント

ブランド品が安く売られる例はアウトレット以外にも「並行輸入品」というものが存在します。

ドン・キホーテなどで安く売られているブランド品なんかは全てこの並行輸入品です。

並行輸入品には大きく分けて二種類あります。

  • 海外ブティックで直接バイヤーが買い付けた品
  • ブランド本体が並行輸入品として安く卸している品

一般的にイメージする並行輸入品は前者かと思います。これは円高や為替レートの変動によって日本よりブランド品が安く買える国で直接買い付けてきた品のことです。

ですがもう一つ高級ブランド本体が並行輸入品として新品の正規品を、並行輸入品を取り扱う業者へと卸しているケースがあります。(※ブランド本体でおこなっていますが表向きにはされていません)

信じがたいようにも思えますが、他のものに置き換えてみれば「大量に買うからその分安く卸してよ」という交渉はあらゆる物流でおこなわれていて当たり前のことです。

直接買い付けの場合、あくまでブランド本体は一切介入していませんが、後者の場合は完全にブランドが介入して卸し値などを決定しています。

どちらも正規品と同じ製品であることには間違いありませんが、仕入れルートが並行輸入品となることで安く仕入れることができ、その分定価以下の値段で販売することができます。

それこそ「グッチ」や「プラダ」「コーチ」など、ドン・キホーテなら定価の半額以下など安く売られているブランド品は並行輸入品としてブランドから仕入れた品となります。

一切セールしない!?圧倒的な価値を誇る高級ブランド

The Names

今やセールをしない高級ブランドは少ないものの、高級ブランドの頂点とも称される「ルイヴィトン」「シャネル」「エルメス」に関しては一切セールをしないことで知られています。

セールや並行輸入品も取り扱わない高級ブランド一覧


  • Louis Vuitton(ルイヴィトン)
  • CHANEL(シャネル)
  • Hermès(エルメス)
  • ROLEX(ロレックス)

先ほどの御三家やロレックスなどもセール品を一切取り扱わないことも知られています。

もちろんこれらのブランドはブランド価値を保つためという意味で、セールやアウトレットなどでの安売りや、業者間で並行輸入品としての販売なども一切おこなっていません。

ルイヴィトンやシャネルは前年度に売れ残った製品は全て焼却処分をするほど徹底的な商品管理がされています。

ドンキなどで売ってるヴィトンやロレックスの並行輸入品は何!?


“でもドン・キホーテにもルイヴィトンはあるし、正規以外の時計屋で新品のロレックス売ってるところも多いじゃないか?”

そんな疑問を抱くかと思いますが、これらは全て先ほど触れた「直接買い付けの並行輸入品」となります。

メーカー経由ではなく客として海外で購入した品を新品のまま自分で値段をつけて国内で販売しているのと同じです。

現地の販売価格と国内での定価の差でしか利益を生みませんので、こういった並行輸入品の安くできる値幅はほんの少しだけです。

実際に某有名時計店では80万円程度の新品のロレックスを販売しても1点あたり3,000円程度の利益しかないと噂されています。

上記のブランドに関してはネームバリューも圧倒的に高いため、これらはあくまで利益目的ではなく客寄せという意味合いが強いです。

顧客限定のファミリーセールが存在する場合も?

セールは一切しないと言ったものの「限られた顧客限定」でファミリーセールが開かれている場合は例外としてあります。

上のブランドの例だと唯一エルメスだけはVIP顧客限定のセールが毎年開催されています。

ここでは主にエルメスの製品をセール価格で購入することができますが、ここにも品質を保つための工夫がされています。

エルメスのセール品にはすべて“S”の刻印がされる

エルメスではファミリーセールであっても、ここで販売された製品にはすべて「ソルド品を表す“S”」の刻印がされます。

アパレル製品にはタグなどどこかしらに、革製品では型押しの刻印が施されます。

一目でセール品を見分けることができるようにすることで、新品の製品の価値が落ちないような配慮がされています。

安売りしているブランドは資産価値がほぼ皆無!?

セールをしないブランドのほうが価値が高い

アウトレットに出店したりセールを開催したり安売りもしている高級ブランドが多数であるのに対して、売れ残った品は焼却処分してまで一切安売りをしない高級ブランドなど、販売戦略としては様々です。

しかし違いを断言するのであれば「安売りしているブランドにはほとんど資産価値」がないということが言えます。

逆に徹底してブランド価値を大事にしているルイヴィトンやシャネル、エルメスといったブランドは時間が経っても価値がなくなる品のほうが少ないです。

ここで言う資産価値は具体的に「手放すときの価格」という一点を考えお話させていただきます。

アウトレットや並行輸入が買取市場へ及ぼす影響とは

実際にアウトレットや並行輸入品で新品が売られているようなブランドは、圧倒的に手放すときの値段が安くなってしまいます。

手放すときの価格とは簡単に言えば中古の相場で決まります。そしてその中古相場は新品価格(定価)や需要に対して相対的にはじき出される額です。

中古品から見たときにはアウトレット価格や並行輸入品の価格というのも言ってしまえば定価と同じです。

何故なら中古品よりは新品のアウトレット品のほうがまだ需要があるからです。

そのため中古市場においては以下のようなことが言えます。

・並行輸入品・アウトレット品がないブランド
「正規品の定価」を基準に中古相場が決まる

・並行輸入品・アウトレット品があるブランド
「割引後の価格」を基準に中古相場が決まる

手放すときにはどんな貴重な品であれ中古です。中古品は新品以下の値段でないと絶対に売れないため、たとえ安くなっていようがセール品があれば、相場の基準はセール品の価格になってしまうのです。

セールをしないブランドにこそ本物の価値がある

もちろんセールをすることは悪いことだとは思いません。それでより多くの方に手に取ってもらえるチャンスもあるわけで。

しかし本当に価値があるブランドはそんなことをしなくとも売れるというのはある種の真理かもしれません。いえ安売りをしないから価値があるのかもしれません。

いずれにせよロレックスしかりシャネルしかり、中古でも高く売れるブランドといわれているようなところは一切安売り等をしていない傾向があります。

同じ品物を買うならセール品で安いほうがいいというのは正解だと思います。

しかし価格で競争されるような品には決して本当の価値が宿らないのではとも思うのです。