金の延べ棒
とりあえず金に換えておけば安心というくらい、絶大な安定資産と思われがちの「金」ですが、必ずしも金を買っておけば損をしないとは限りません。

実際にここ10数年で金は4倍以上の変動をしています。

ですが実物資産である金はどこの国行っても高い価値がありますし、国籍を持たない貨幣とも言われています。リーマンショックなど世界中で金融不安にあっても、小幅な値動きだったのは金くらいです。

今回は資産としての金についてわかりやすくお伝えできればと思います。

なぜ金の価値が高いのか

金の価値が変わらず高いのは「地球上にある絶対量が決まっているから」というのはだれしも聞いたことがあるのではと思います。

どれくらいあるかというと、現在世界中にある金を集めるとおよそ17万トンです。これは50Mプールおよそ3杯半くらいの量です。世界中全て合わせてと考えるとかなり少ない量です。

ちなみにこれ以外にまだ掘り起こされていない金は6万トンあると言われてます。この掘り起こされていない分は地中深くであったり、活火山の近くであったり採掘しづらいものがほとんど。

掘り起こせば量が増えるし価値も下がるんじゃないの?と考える方もいると思いますが、生産コストが大きくかかるため全部掘り起こしても大幅に価値が下落することはありません。

ちなみに日本でも砂金が取れる地域などもありますが、これら大量に集めても5円程度の量にしかなりません。想像できる範囲でどんなに細いネックレスチェーンでも1g(3500円程度)くらいは必要ですので、砂金がどれほど微量化はお分かりいただけると思います。

金って安定しているの?

金が安定しているといわれる一番の理由は「現物資産であり信用リスクが0」だからです。他にも「国債」「有価証券」「外貨預金」など資産運用する方法はありますが、会社が破たんしたり国の財政が破たんすれば全て価値は0円になってしまいます。

その点金は物として形があり、そして世界中で変わらず価値が認められている分、0円になるリスクがありません。(※実際に国の財政が破たんするような事態になれば金も大幅な課税対象になって価値が下がると言っても過言ではありませんが0円にはならないはず)

金の相場はそこまで安定していない

金はいつ買っても価値がなくならないから安心だと思っていると痛い目を見る可能性は大いにあります。実際に2000年から前年2016年にかけて金相場は以下のような大幅な値動きをしています。

対円金相場グラフ
※データ参照 田中貴金属金価格推移

2000年初頭は1グラム1,000円ちょっとだった金の価格ですが、2005年には1.5倍、10年後の2010年には3.5倍の3,500円になり、2017年今現在では4,800円前後とかなり高い水準にまで高騰しています。

2000年以降の10年ちょっとで4倍以上に高騰しているのです。

こんなにも高騰した理由

金がここまで高騰した理由は様々と言われていますが、アメリカ同時多発テロ以降信用経済に対する不安が高まり、実物資産である金への注目が集まったことが一番の要因とされています。その間価格の高騰に対し、金の生産量(採掘など)は追いつくことができず、世界中で金の争奪戦になったため短期間でこんなにも金の価値が高騰する事態になったとされています。

実物資産として比較対象にされるプラチナ

金と同じく実物資産としてよく比較対象に挙げられるのがプラチナです。こちらは世界中でも総在庫量が5000トン程度と金よりもさらに希少価値が高い資産です。

以前は金よりもグラム単価は高くより価値が高いとされていたプラチナですが、現在では1グラム4,000円ほどに値下がりしていて、金相場と逆転してしまっています。

実は産業用として使われているプラチナ

プラチナというと結婚指輪など宝飾品として使用されているイメージですが、実は50%以上が自動車用の排ガス浄化装置の触媒として使用されています。(ちなみに金は80%以上が宝飾品として使用されている)

元々は産業用の資源として価値が高まったのがプラチナで、数は少なく希少価値があるものの、その用途に取って代わる金属が登場すればたちまち価値を落とすのではと不安視される側面があります。

金は日本では500年ほど前から貨幣制度に伴い登場して以来その価値をずっと保ち続けています。対してプラチナの価値が高まったのはここ100年くらいの話なのです。資産としての歴史では金とプラチナでは大きく異なっています。

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金の種類と投資方法

金は主に純金とされるものと、宝飾品などで利用される18Kに区分されます。

18Kは金に銅などの他の金属を混ぜて強度などを高め、加工しやすいようにしたもので、金の含有量75%に対して、そのほかの25%は別の金属が使われています。2000年以降金の高騰に伴いさらに金の含有量が少ない10Kも宝飾品として頻繁に使われるようになりました。

純金がグラム単価4,800円くらいなのに対し、18Kはグラム単価3,500円ですので単純に金の量だけ価値が下がります。

いわゆる金の延べ棒っていくら?

ゴールドバーとも呼ばれるいわゆる「金の延べ棒」はだいたい1キロのものが平均的です。大きさはだいたい縦10cmちょっと、横5cm、厚さ1cmくらいの直方体が一般的ですが、この大きさでも現在の価格では450万円くらいします。

要するに金の延べ棒とされるものは一本で450万円くらいの価値があります。

もちろん一般的に想像されるのが1キロサイズというだけで、最少は5gくらいの小さな金の延べ棒もあります。

純金積み立てとは

資産運用として金の投資方法で一般的なのが「純金積み立て」です。毎月一定の金額で金を少しづつ購入する方法(ドルコスト平均法)で、月1,000円など少額でも始められることから人気も高いです。

実際には純金積み立ての会社にお金を預けて、買い付け報告書などで都度知らせを受けるという形になりますので、金を手元に置くことはできません。ネット取引の株とも似ています。

純金積み立ては結局信用リスクあり?

純金積み立てを取り扱う多くが「消費寄託」という保管方法で金が取り扱われます。簡単に言うと「積み立て中・保管中は金の所有権は会社に移ります」という決まりです。そのため預けている会社が倒産すれば、当然資産が減ることになります。

金自体に信用リスクはないと言われますが、純金積み立てで手元に金を置いていないのであれば、信用リスクがあるといっても良いでしょう。(※消費寄託に対し特定保管という100%保障される仕組みもありますが導入しているところは少ないです。)

このように仕組み自体は銀行の預金などとも似ていて、ドルコスト平均法によりリスクの低い買い方とされていますが、その分大幅に儲かるということは少なく、あくまで資産運用の一環にすぎません。純金積み立てには年会費や手数料なども別途発生する場合も多いです。

金は先物取引もある

金の投資で大きく稼ごうとするのであれば「先物取引」を利用する方法もあります。先物取引とは商品の購入時にお金を支払わずに、その先一定の期間まで定められた価格で取引できる権利を買うことです。

先物取引のメリットは証拠金を預けることでレバレッジを利かせられる点です。そのため元金が少なくとも、多額の取引ができるためも利幅も大きくできます。

しかしFXなど同様にレバレッジにはリスクも高く、ハイリスクハイリターンな取引になります。

これからも安定している?金資産

金はこの先も0円になることはないと思います。歴史からも証明されていることです。

ただ金は余裕資金でかつまとまった量を購入できる資産家の、資金運用先の一つという感じが個人的にはします。純金積み立てなどコツコツ増やす方法にはあまり不向きかなと思います。当然固定資産などもかからないため、余裕資金で購入して金に換えておくのには適しています。

今はかなり高い水準ですので購入のハードルは少し高めかと思いますが、中国の大富豪やアラブの石油王らがこぞって金を買いあさっているという話もちらほらあります。(なんでも世界中の金を独り占めしたいと思っている人がいるとか・・・ソースは噂)

この先もさらに価値が高騰する可能性も大いにあります。いずれにせよ信用リスクのない資産として金の価値がなくなることはないでしょう。