巷では買取業界は下火だともいわれていますが、売上を見るとむしろ伸びている会社もあり多種多様です。
今回は買取大手業者で「中古品の売上高」が高いところトップ10社をピックアップし分析しています。
現状のリユース業界の情勢などはどうなっているのか?また利益率の高い買取ジャンル、今後も伸びていきそうな業者なども詳しく解説していきます。
このページの目次
未曽有の不況!?と囁かれる買取業界
当サイトでも何度か取り扱いしている内容ですが、買取業界はメルカリをはじめとするフリマアプリ、CtoCサービスの躍進によって不況に陥っているといわれています。
特にメルカリは1000億円以上の流通額を記録し、多くの中古品が買取業者ではなく、こうしたフリマアプリに流れていることは明確です。
しかし単純に「中古品の売上高」を見ると、買取業界全体でも前年比5%程度アップしています。
小型の店舗に関しては倒産しているところも多いですが、これは昔から変わりませんし、大手の業者では売上高を伸ばしているところも多いです。
大手買取業者の中古品売上高ランキング2017
ここでは買取業界という大きな括りで中古の売上高だけをピックアップしていきたいと思います。
1位 ゲオホールディングス
中古売上高 892億円(前年度852億円)
取扱い商材 メディア・古着・携帯電話
店舗数 1823店舗
昨年に引き続き1位となったのは「ゲオ」や「セカンドストリート」などを運営するゲオホールディングス。
CDやDVDなどのメディアがあまり売れないといわれる中、古着を中心としたセカンドストリートや、中古スマートフォンなどを取り扱うゲオモバイルなどの売上がかなり伸びています。
会社の売上およそ2700億円のうちのおよそ30%以上が中古販売の売上となっています。
2位 ブックオフコーポレーション
中古売上高 799億円(前年度751億円)
取扱い商材 メディア・総合
店舗数 843店舗
古本市場において圧倒的大手「ブックオフ」を運営するブックオフコーポレーションは2位にランクイン。
ただし今年度の業績は赤字が発表されているように、業績は低迷していて「フリマアプリの台頭」「漫画や書籍の電子書籍化」など今もっとも風当りの厳しい中古業者ともいえるでしょう。
取扱い商材もブランド品、家電、古着など展開を拡大しているものの、うまく転換できているとは言い難い現状です。
3位 コメ兵
中古売上高 347億円(前年度365億円)
取扱い商材 ブランド品・宝飾
店舗数 33店舗
中古ブランド品業界で長年トップを走り続ける「コメ兵」ですが、昨対比はマイナスと景気はそこまで良くない印象です。
これも中国人の爆買いの減少、そしてフリマアプリの影響をもろを受けているものと予想ができます。
ブランド品の場合は中古売上高が会社の売上の90%近くを占めていて、店舗数も今年は縮小と業績も下り坂というのも否めません。
4位 SOU(なんぼや)
中古売上高 219億円(前年度156億円)
取扱い商材 ブランド品・宝飾
店舗数 44店舗
ブランド品の買取専門店「なんぼや」を運営するSOUは業界の台風の目ともいえる躍進を続ける会社です。
昨対比+40%程度と大きく業績を伸ばしていることは間違いありませんし、最大手のコメ兵の背中をとらえつつあります。
徹底的にデータ管理された買取システムで買取成約率も80%以上を記録。低迷が囁かれる中古ブランド業界でも唯一大きく業績を伸ばしています。
5位 大黒屋ホールディングス
中古売上高 204億円(前年度166億円)
取扱い商材 ブランド品・宝飾
店舗数 138店舗
ブランド業界三番手とされる「大黒屋」を運営する大黒屋ホールディングスが5位にランクイン。
国内だけでなくイギリスで質・買取サービスも展開しているグローバルな企業という点はあまり知られていません。
合計の数字からは見られないものの国内での売上高は前年度から-20億円となっていて、こちらもコメ兵同様決して景気が良いとは言えません。
6位 ハードオフコーポレーション
中古売上高 167億円(前年度167億円)
取扱い商材 家電・古着など
店舗数 874店舗
ハードオフコーポレーションは主力の「ハードオフ」以外にも「モードオフ」「オフハウス」「ガレージオフ」「ホビーオフ」などを多ジャンル展開をしています。
フランチャイズによるチェーン展開も多く、チェーン店を含めた総売上では業界3位という位置づけです。
ブックオフとハードオフはそれぞれ独立した会社ですが、互いが互いのフランチャイズ店を運営していたり何かと親和性は高いです。
7位 バイク王&カンパニー
中古売上高 162億円(前年度176億円)
取扱い商材 バイク
店舗数 62店舗
中古バイクの買取・販売をおこなう全国チェーン「バイク王」を運営するバイク王&カンパニーは7位にランクイン。
買取業界の中でもネット販売の波が訪れている中で、ネット販売売上の比率は全体のたったの「2%」というのも特徴です。
中古バイク業界では目立った競合もなく、圧倒的No.1に君臨し続けています。
8位 ブランドオフ
中古売上高 158億円(前年度175億円)
取扱い商材 ブランド品・宝飾
店舗数 45店舗
ブランド業界の4番手となるのが「ブランドオフ」、最近「大黒屋との業務資本提携」が話題となりました。
こちらも売上高は前年度から10%程度減少しており、中古ブランド業界全体での不景気の影響を受けています。
香港や台湾などにも10店舗以上を展開していて、業務資本提携の話もあり、今後はどういった手を打つのかに注目が集まっています。
9位 ソフマップ
中古売上高 157億円(前年度175億円)
取扱い商材 PC・携帯電話
店舗数 23店舗
ビックカメラグループに属す、「ソフマップ」はPCや携帯電話という市場では最大のシェアを誇ります。
PC関連では売り上げを落としていることが予想されるが、近年発展している中古スマホ市場において大きなシェアを持っているのが強み。
近年拡大を続けるゲオモバイルとの争いは激化の一途を辿るだろうと予想されています。
10位 エーツー(A-Too・駿河屋)
中古売上高 156億円(前年度138億円)
取扱い商材 メディア・ゲーム・ホビー
店舗数 105店舗
古本やCD・DVDにおいてコアなファン層にもっとも支持されているのが「駿河屋」などを運営するエーツーです。
ホビーやフィギュアといった趣味性の高いマニアックなジャンルにおいては、圧倒的なシェアを誇っている業界No.1企業です。
ネット売上も全体の80%以上と大きく、その他にもアイドルグッズやお菓子などにも市場を拡大している成長企業の一つです。
利益率が高い品物ジャンルとは?
上記はあくまで中古売上高のみピックアップしていますので、利益率を考えるとまた違ってきます。
買取においておおまかな利益率の高いといわれる品物ジャンルは以下です。
- 古着
- 家具・家電
古着は数多くあるリユース品の中でも特に利益率が高く、近年増加傾向にある中古家具や家電に関してもかなり利益率が高いジャンルとなっています。
反対に利益率が低いといわれる品物ジャンルは以下です。
- ブランド品・貴金属
- 古本・メディア
ブランド品などの高額品に関しては、仕入れにもお金がかかるため利益率自体はそこまで高くありません。
古本などは仕入れ値は安いですが、単価も安いため薄利多売というビジネスモデルの代表例の一つです。
今後も伸びていきそうな買取業者
買取市場において今勢いがあるのが「携帯電話・スマートフォン」など新しい市場です。
業界トップのゲオホールディングスは古着市場ではセカンドストリートが存在感を示し、ゲオモバイルも徐々に拡大していっていることが業績の大きな支柱となっています。
今後も躍進が止まらないのではと予想されています。
反対に現状古本など意外に強みがないブックオフはかなり苦戦を強いられています。
現在力をいれているブランド品や家電などの買取事業を、どれほど伸ばすことができるかといった点が今後大きく影響を及ぼしそうです。
ネット販売や宅配買取に注力するところは伸びている
取扱うジャンルも大事ですが、ネットでの販売や集客がうまくいっている業者が伸びている傾向も強いです。
ランクインした「エーツー」以外でも、斬新なテレビCMやネットでの集客力が高い宅配買取専門の「ブランディア」を運営するデファクトスタンダードも、売上高でみると96億円で中古ブランド大手4社に続く5番手となっています。
売上高の推移を見ても最大手の「コメ兵」が伸び悩んでいるのに対して、ブランディアは右肩上がりの推移となっています。
(図:ブランディアとコメ兵の過去四年間の売上高推移 ※コメ兵は新品販売も合わせたトータル売上を表記)
売上規模を比較すると4倍以上差があるため、単純比較はできないものの、このように宅配買取に特化することで順調に仕入れを増やし、売上高も伸ばしています。
ブランディアはブランド品のEC販売においてはすでにブランド業界トップとなっていて、店舗を持たずネットに特化した経営戦略が今一番はまっているといる企業ではないでしょうか。
ブランディア以外にも各社宅配買取での持ち込みは年々上昇傾向にあり、店頭だけではない仕入れ戦略も重要度が増しています。
まとめ
実際、フリマアプリの影響を受けていない買取市場がかなり少なくなってきていることで、買取市場全体で厳しいという見方は正しいと思います。
しかしそれに反し、大手各社は買取ジャンルを広げたり、集客経路をネットなどに注力したり様々な方法で対策を施しています。
買取業界にとって今は大きな変革の時代といっても過言ではないでしょう。
他にも手軽に高く売れる方法が登場してきた以上、より手軽さで優る、もしくは買取額の水準を上げていくなど、ユーザーに与えるメリットがなければ、いずれにせよ市場が縮小していくことが予想されます。
これは業界No.1であるゲオホールディングスから末端の買取業者まで等しく言えることに違いありません。