買取業者に勤めていると「悪質なお客」に出くわすことも度々あります。
良く挙げられるのが「クレジットカードの現金化」に利用されるケースや「偽ブランド品の持ち込み」などが有名です。
今回はそうした悪用例を内部事情などを踏まえて詳しくお話していきたいと思います。
前回「悪質な業者の例」をお話ししましたが、今回は「買取業者に訪れる悪質なお客」という逆のテーマを取り扱っていきます。
このページの目次
買取業者には悪質な客も一定数存在する!?これまでにあった悪用例
買取業者には販売と買取という二つの側面があり、それらを悪用されるケースも少なくありません。
定番の買取業者あるあるといった悪質な客の例や、珍しい例などをご紹介していきます。
クレジットカードの現金化に悪用されるケース
もっとも多い悪用例がクレジットカードの現金化に利用されるケースです。
お店で商品購入した直後に「それじゃこれ買取で!」などと言ってくるのでは、慣れないうちはこちらも「え?」となってしまいます。
もちろん「これすぐに売りたいんですけどいくらになりますか?」などと聞いてくる方もいらっしゃいます。
この場合、換金率の高い「ルイヴィトン」や「ロレックス」の新品商品を対象とする場合が多いです。
だいたいこれくらいの換金率ですので、クレジットカードのショッピング枠の現金化に利用されるケースはかなり多いです。
クレジットカードの現金化は法律的にはグレーゾーンですが、カード会社の規約違反となる場合もあり、こうした利用例は悪用といっても過言ではないかと思います。
ポイントカードを現金化するケースも
買取業者のポイントカードのポイントを上記の手口で現金化するケースも多いです。
ポイントなんて貯まるのか?と思われがちですが、通常1%程度の還元率でも期間中の買取では「10%」などのキャンペーンはどこの業者もやってると思います。
購入しても買取してもどちらでもポイントが貯まるため、ポイントを利用して小物などを購入してすぐに買取に出される方も多いです。
クレジットカードが盗品や偽造品のケース
高級ブランドを取り扱いしていることもあり、盗品や偽造クレカで買い物しようとする人も少なくありません。
盗品のクレジットカードを使用して買い物しようとするお客は女性が多いです。見た目は水商売系の身なりの方が多い印象です。
基本の手口は名義の違うカードを使用し「旦那のカードだから大丈夫」といって名義人のサインをおこない決済します。
これはお店側も許してはいけないのですが、店員によっては許可してしまうお店もあります。
警察に被害届が提出されていたことで後々発覚という事例が多いです。決済させた店員はお店からも警察からもかなり怒られます。
外国人のお客に多い偽造クレカ
盗品のクレカ使用は日本人のお客が多いですが、偽造クレカに関しては圧倒的に外国人客が多いです。
基本的に偽造クレカはリーダーで弾かれますし、そもそも決済することすらできませんが、古いリーダーを使用しているお店だと通ってしまう偽造クレカもあるようです。
これに関しても店のセキュリティに難があるのは言うまでもありません。
偽物を買取で持ち込まれるケース
高額品を買取している以上、偽物の品を持ち込まれる例は今後も後を絶たないと思います。
高級ブランドの商品に関してはブランドとしても対策していることもあり、一部のかなり精巧な品でなければまず査定を通ることはありません。
ただし貴金属やその他専門外の品物を持ち込まれると、騙されて買取してしまうという例もけっこう多いです。
18Kに見せかけたタングステンの加工品
一時かなり多かったのが「タングステンを加工した18Kアクセサリーの偽物」です。
タングステンは通常電球のフィラメントなどに使用される金属でアクセサリーなどに使用されることはまずありません。
しかしタングステンは「金」とほぼ比重が同じで、水で比重を測ってもわかりません。
素材を調べることができる「X線の異物検査機」にかければ一発で偽物だとわかりますが、買取業者でもこのX線機器を導入しているお店はごくごくわずかです。
外見は金メッキでコーティングされているため、熟練の鑑定士であれば色の質感や刻印の入り方などに違和感を感じることができます。
しかし実際には見破れない鑑定士も多かったことで、一時この価値がほぼ0円に等しいタングステンの品物を買取してしまったお店が続出しました。
偽の宝石鑑定書がある偽物ダイヤの婚約指輪
貴金属関係は偽物が非常に多いですが、個人的にもショッキングだったケースは「婚約指輪」の持ち込み例です。
旦那さんと別れたことで婚約指輪や結婚指輪を買取に持ち込まれる方はけっこう多いです。
そうした理由で持ち込まれた品の中には、本人はダイヤと思っていたが鑑定してみると「人工ダイヤ(ジルコニア)」だったというケースも少なからずあります。
中には偽造の「ダイヤ鑑定書(GIA)」まで付いている品もありました。
結婚指輪や婚約指輪の事例に関しては、持ち込まれた本人も偽物と知らずに悪意がないケースも多く、本人を責めることはできないものもあります。
むしろ婚約時から欺かれていたと思うとこちらまで悲しくなってしまいます。
商品券の偽物が持ち込まれることも
買取店では貴金属やブランド品など以外にも「商品券」などの金券類も取り扱いしているというお店も多いです。
中にはこうした金券の偽物も存在します。
通常金券類は買取店よりも金券ショップなどに持ち込んだほうが換金率も良いため、滅多に持ち込まれるケースはありません。
そのため鑑定士側に知識がないことも多く、そこを突かれます。
手に取って本物と見比べれば質感などに誤差がある程度のクオリティでも、普段あまり触れることのない品物であるがゆえに偽物とわからず買取してしまう例も少なくありません。
その他悪質(?)な珍しいお客のケース
その他にも悪質だと思われる珍しいお客のケースもご紹介いたします。
上記などの定番事例には当てはまらないかなりイレギュラーなケースです。
偽札で100万円以上のロレックスを購入される
以前、130万円程度のロレックスの腕時計を偽札で購入されたというケースがあります。
今思い返しても見ても笑ってしまうのですが、経緯は以下です。
- 130万円程度のロレックスを購入したいとお客が申し出る。
- しかし手元に現金100万円しかないという。(札束を渡される)
- 現金に加えて今している腕時計(高級ブランドで200万円相当の品)を担保に置いていくので、商品を先にくれと言い出す。(今すぐロレックスを身に着けたいなどと言い・・・)
- 3時間以内に残金30万円を持ってくると言い、店員はそれに応じてしまう。
- その後、札束は最初と最後の2枚のみが本物で残りは全て偽札、腕時計も偽物ということが発覚。
店員が間抜けだという点はともかく、これによって100万円以上するロレックスをまんまと持っていかれるというケースもありました。
隣の買取店の査定額のほうが高いのに売ろうとするお客
繁華街などは買取店が乱立しているエリアも少なくありません。
こうしたところのお店に勤めていると「他店で査定したら○○円だったのですが、いくらになりますか?」と言ってくるお客も多いです。
そうしたより高く売ろうとするお客も多いのですが、以下のようなケースがありました。
お客:ブランド品3点の査定をお願いします。隣の買取店では合計10万円と言われたのですがいくらになりますか?
私:そうですねぇ。うちだと合計6万円にしかなりません。隣の買取店のほうが良いと思いますよ。
お客:わかりました。
(と言って席を立とうとするが・・・)
お客:あ、やっぱり買取お願いします。面倒なので。
私:え?隣ですよ?高いほうで売ったほうが良いと思いますよ。
お客:いえ、大丈夫です。買取お願いします。
言っていることがかなり怪しかったため、こちらからお断りさせていただいたのですが、ある意味恐怖を感じたお客でした。
まとめ
必ずしも悪質とは言えない例もご紹介させていただきましたが、偽札であったり偽物や盗品のクレカなど悪質な犯罪トラブルも比較的多いです。
ブランド品は数百万円を越える品も多々あり、それを利用した偽ブランド品ビジネスなどはブランド業界全体で見ても後を絶ちません。
買取業者側が多額の被害を受ける事例も多いですし、少しでも摘発者が増えることで業界の健全化も促されるのではと感じます。
誰に向けた内容なのか曖昧になってしまいましたが、フリマアプリなどCtoCサービスを利用して物を売買することが盛んな今、「プロでも見破れない偽物のジュエリーや偽ブランド品がある」ことは一般の方でも知っておいて損はないかと思います。