日本でもおなじみのドイツ発の人気サンダルブランド「BIRKENSTOCK(ビリケンシュトック)」が卸先に対して「Amazonで販売・出品をしている業者とは、今後は一切取引をしない」という声明を発表しました。
米販売元のビリケンシュトックアメリカズのCEO自らが卸先に向けてこうしたメールでの警告を出したということで、業界内で少し話題になっています。
ブランド自らがAmazonなどマーケットプレイスでの販売に対してこうした抗議をしたのはおそらく初。
それに伴いブランド業界のネット販売の現状や是非を考えていきたいと思います。
このページの目次
Amazonに出品した卸先とは一切の取引停止!?
発端はAmazonがビリケンシュトックの卸先の業者などに対して「出品を促すメール」を送っていたことに始まります。
もちろんこれはビリケンシュトックに限った話ではなく、マーケットの多様性や商品の品ぞろえをさらに広げようと、ブランド品のみでなく様々なジャンルに対して配信されました。
Amazonとしては、ブランド品から日用品まで様々な商品を販売したいと思うのは当然のこと。
ですが実際にその他高級ブランドなどを見ても「ブランド本体」がAmazonに正規品を出品している例は限りなく少ないです。
そこでAmazonは正規品の卸先である業者に「在庫を配分してほしい」という旨のメールを配信していたようです。
これを聞きつけたビリケンシュトック社が「Amazonに出品した卸先とは今後一切の取引をやめる」と発表したのです。
(Amazonには現在多くのビリケンシュトックの製品が出品されているが・・・)
マーケットプレイスによって世界観が毀損される!?
ビリケンシュトックはAmazonのようなマーケットプレイスで販売されることに対して「世界観が毀損される」と懸念を示しています。
こうしたファッションブランドに関してはブランディングされた世界観が命といっても過言ではありません。
しかし実際に販売業者が自由に出品ができるマーケットプレイスに対して、ここまで徹底的な抗議を示したブランドは初めてです。
Amazonに出品される高級ブランドの現状
実際にAmazonで高級ブランドは買えないのか?というと現状そんなことはありません。
ルイヴィトン、シャネル、エルメス、ロレックスなどどの高級ブランドを検索してもヒットしないブランドはほとんどありません。
もちろんどのブランドも「ブランド本体」が出品している例はありませんが、並行輸入品としての卸先の業者や、中古販売の業者など様々なお店から出品されているというのが現状です。
調べていくと「Hermèsのバーキン」のような超高額バッグも出品されていました。
(バーキンの超高額モデル「ヒマラヤ」が1,200万円ほどで出品されていた・・・)
誰にでも出品ができるゆえに偽物と本物が混在する
マーケットプレイスにおける高級ブランド品の販売に対する問題点は「偽ブランド品」が出品されていることでしょう。
これに関しては100%保証することでができないため、実例は避けますが「見るからに偽物であろう品」も多数存在します。
Amazonに関しては「ルイヴィトン コピー品」など明らかに購入者が偽物とわかるような表記の商品は出品されていません。
明らかな偽物の商品などは審査段階で弾いているのではと思いますが、「ノベルティ」と謳った偽物や本物と見せかける工夫がされている品物は出品されている現状があります。
高級ブランドに関しては商品が多すぎる上に、真贋判定にも知識が必要ですので、少なくとも本物と謳われた偽物(※実際には本物とも表記していませんが・・・)の出品を防ぐことは、こうしたマーケットプレイスにおいてはかなり困難です。
「ブランド名」を検索したときに、本物の商品と偽物やコピー品が同時にヒットする状況を好ましいと考えるブランドはないでしょう。
ブランディングという観点からブランド自体が警鐘を鳴らしたくなる気持ちは理解できます。
ブランド品はネットで販売するべきでないのか?
ネットが普及した今でも“ブランド品は通販では買いたくない”との声は少なくないように思います。私自身もその一人です。
しかし中古ブランド品販売業者などは、すでに店舗での販売より通販サイトなどEC販売の売上が上回っている大手業者も多く、ネットで高級ブランドが売れないということはありません。
今回ビリケンシュトックが「Amazonへの出品を禁じる」とも取れる声明を発表しましたが、これ自体は多くのブランドが望む内容ではあるものの、直接取引をしてない販売業者や中古品を買取して販売する業者を規制することまではできません。
ブランド品を販売するために必要なのは何よりも信頼です。
Amazonをはじめとするマーケットプレイスに唯一足りてないもののように思えますが、信頼できる販売元であれば安心して購入できるという方も多いと思います。
当然難点はまだまだ多いものの、実際に購入者が増えている実情からは、高級ブランドがネット販売に不向きといわれていた時代も終わりつつあるのではないかと感じます。
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